[ロンドン 29日 ロイター] - 29日付の調査によると、英国が欧州連合(EU)から離脱した後の英EU通商関係に対する先行き不透明感が、世界的な金融センターであるロンドンの最も深刻な脅威となっている。
英産業連盟(CBI)とコンサルティングのPwCが実施した四半期調査では、英国の金融サービス部門の業況感は第4・四半期(昨年10─12月)に低下した。低下は3四半期連続。
CBIのチーフエコノミスト、レイン・ニュートンスミス氏は「業況感が回復するためには、英国がブレグジット交渉で目指しているもの、成功の機会、失敗時の影響について金融サービス業者ができる限り確信を得る必要がある」と述べた。
PwCの金融サービス部門トップ、アンドリュー・カイル氏は「金融サービス業界は、取引の状態やビジネスモデルを維持するために積極的な行動をとる必要があるだろう」と指摘した。
パリやフランクフルト、ダブリン、ルクセンブルクは、ブレグジット後もEUへのアクセスを維持する必要がある金融サービス業者をロンドンから引き込もうと競い合っている。
また同調査によれば第4・四半期の金融業者の利益は改善が続いており、足元でも同様のトレンドが予想されているとした。社員数は安定性を保つ見込みという。
これとは別にロンドンの金融街「シティー・オブ・ロンドン(シティー)」は、シティーにおける欧州経済地域からの労働者の割合は10年前の8%から18%に上昇したと発表した。英国人は59%。残りは欧州外からという。
シティーの行政責任者キャサリン・マクギネス氏は「同データは英国最大の金融センターにおける欧州労働者の重要性とブレグジット後の明確な移民政策の必要性を具体的に示している」と述べた。
CBIとPwCの調査によれば、調査対象92社のうち54%が英国の金融工学やフィンテック部門における労働者をより簡単に誘致できるようになることを望んでいると答えた。