[ロンドン 9日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は欧州連合(EU)に対し、「クリフエッジブレグジット(英国の無秩序なEU離脱)」リスクからクロスボーダーの金融サービスを守るため一段の行動を求めた。
英国のEU離脱まで6カ月を切り、英仏海峡間で事業を行う企業にとって新たな障壁が生まれる可能性が意識される中、英中銀は保険やデリバティブ、データ移転にリスクがあると指摘した。
英中銀の金融行政委員会(FPC)は9日、3日の会合を受けて公表した文書の中で「英国ではこれらリスクへの対策に大幅な進展が見られるが、EUでは限られた進展にとどまっている」と指摘。「時間が限られる中、クロスボーダー金融サービスの途絶リスクを企業が独力で完全に和らげることは不可能だ。当局が緩和措置を完了することが早急に必要となっている」とした。
EUが現行ルールの継続性を確保する行動を取らなければ、名目価値で40兆ポンドのデリバティブが英国のEU離脱後に法的な不確実性に直面。保険については、たとえ英国に拠点を構える企業が事前に欧州事業のEU移転計画を完了したとしても、EUにおける約900万の保険契約者は離脱後も依然として不確実な状況に置かれることになるという。
欧州委員会はこの日、金融サービス関連業者に対しては常にブレグジットに備えるよう通達してきたとし、欧州中銀行(ECB)と協力して市場に対するリスクの分析を継続すると表明。欧州委報道官は、離脱条件などで最終的に合意される見通しとなっている来週のEU首脳会議後に状況を精査すると述べた。
また、FPCは9日、カウンターシクリカル資本バッファー(CCyB)を1%に据え置くと発表した。FPCは次回11月28日の会合でCCyBの水準について討議する。
*内容を追加しました。