October 30, 2019 / 4:07 AM / 15 days ago

ブログ:ロンドンの街角に疲労感、「離脱の議論はもう十分」

[ロンドン 25日 ロイター] - 13歳のときからロンドンの街角で花を売っているビル・エリオットさんにとって、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)にかける期待はしぼみつつある。

 DIYショップ「ADSワン」のオーナー、ライアン・ワトキンスさん(58)は、離脱に賛成票を投じたという。だが今では、ブレグジットで英国が巨額の資金を節約できるという主張に騙されたと考えている。9月10日、ロンドンで撮影(2019年 ロイター/Hannah McKay)

ブレグジットに投票した露天商のエリオットさんは56歳。透明なラッピングから花束を取り出しながら、「正直なところ、少し諦めつつある。時間が掛かりすぎている」と話す。「今やブレグジットを実現するためには、どれほど不利な条件でも飲まなければならないように思える」

花を売るエリオットさん(左)。「個人的には、EUはすでにその役割を終えたと思う」と話す。9月12日、ロンドンのストリータム・ハイロードで撮影(2019年 ロイター/Hannah McKay)

エリオットさんの生活の糧は、オランダの栽培農家から英国に輸入される花だ。サウスロンドンの住民が「欧州で最も長い大通り」と主張するストリータム・ハイロードの街角でその花を売るのが彼の仕事である。

経済への打撃を緩和するための移行措置の取り決めなしに英国がEUを脱退する、いわゆる「合意なき離脱」では、ロンドンの花き卸売市場に短期的な混乱が生じかねない。

だがエリオットさんは、それだけのリスクを負う意味はあるかもしれない、と言う。「ときどき思うのだが、とにかくきっぱりと別れて、その先5年間、我が国の経済がどうなるか見てみるべきではなかろうか」

「個人的には、EUはすでにその役割を終えたと思う。あまりにも多くの国が(EUから)利益ばかり得ようとして、貢献はしていない。ブレグジットが成功すれば、EUは長くは持たないだろう」

建物のドアには国民投票のやり直しを訴える貼り紙が。10月16日、ロンドンのストリータム・ハイロードで撮影(2019年 ロイター/Hannah McKay)

英国の有権者が史上初のEU脱退を選択することで世界に衝撃を与えてから3年4カ月が経過したが、脱退の方法や、そもそも脱退の是非をめぐって、国内は依然として割れている。

ボリス・ジョンソン首相は以前、10月31日の離脱期限の延長を要求するくらいならば「のたれ死んだ方がマシ」と話していた。この期限自体、2度の延期によるものだ。

だが、どうやらジョンソン首相にはもっと時間が必要になりそうな気配だ。

ロンドンのストリータム・ハイロードにある理容室。10月12日撮影(2019年 ロイター/Hannah McKay)

<「残留」派の拠点>

ストリータムで暮らす多くの有権者にとって、EU離脱は、国民投票が行われた2016年6月当時とまったく変わらず懸念すべきことだ。

この地域の大半はランベス特別区に属しているが、同区は有権者の5人に4人近くがEU残留を支持したという、英国で最も残留派が強い地域である。その背景には、ストリータムの多彩で多文化的な人口構成がある。

チャリティショップで働くペレス(左)さんによれば、何人かの友人は国民投票以後、ベルリンやバルセロナなどに移ってしまった。9月10日、ロンドンのストリータム・ハイロードで撮影(2019年 ロイター/Hannah McKay)

スペイン生まれだが子どもの頃から英国で暮らすジュディス・ペレスさんは、ブレグジットによって、他の欧州諸国で学び働くことを望む英国の若者にとって機会が減少してしまうことを心配している。

ペレスさんによれば、彼女の友人数人は、国民投票以後、すでにロンドンを離れ、ベルリンやバルセロナ、その他のスペインの都市に移ってしまったという。

中古の衣料品や書籍、CDを販売するチャリティショップで働くペレスさんは、「もちろん、EUだって完璧ではない。失業率も高い」と話す。

16歳の時にジャマイカからロンドンに移住してきたカフェレ・フェアマンさん。国境管理の厳格化を背景に人種差別が激しくなることを懸念する。8月22日、ロンドンのストリータム・ハイロードで撮影(2019年 ロイター/Hannah McKay)

「けれども、誰もがEUの一員だ。私が初めてこの国に来たとき、どんなだったかを覚えている。それほど良い環境だったわけではない。でも、今ははるかに良くなっている。私たちは今、前進しているのではなく、逆戻りしている」

<「跳ね橋を上げる」行為>

16歳の時にジャマイカからロンドンに移住してきたカフェレ・フェアマンさん(54)にとって、ブレグジットには別の懸念がつきまとう。国境管理の厳格化を背景に人種差別が激しくなることへの恐れだ。

陽射しのなか、大通りに面したバーの店頭に置かれたテーブルでプロセッコを飲みながら、「現状でも、黒人が旅行するときには十分トラブルがある」と彼女は言う。

セント・レオナルズ教会の礼拝に参加する信者。9月22日、ロンドンのストリータム・ハイロードで撮影(2019年 ロイター/Hannah McKay)

ストリータムにある教会の1つに所属するアンナ・ノーマンウォーカー牧師によれば、彼女の教区で暮らす人々の政治的見解はさまざまだが、共通の人間性に対するキリスト教信仰は、ブレグジットに伴う混乱によって少しも損なわれていないという。

「ストリータムで暮らすことで、普遍的で多様な、そして素晴らしいコミュニティが得られている。世界がバラバラに細分化され、跳ね橋を上げた状態へと駆け足で戻っていこうとするようで、人々は悲しんでいる」と彼女は言う。

DIYショップのオーナー、ワトキンスさんは、ブレグジットの結果がどうなるか見当もつかないと話す。8月22日、ロンドンのストリータム・ハイロードで撮影(2019年 ロイター/Hannah McKay)

ペンキ塗り用のハケやドリル、のこぎりなどが山積みされたDIYショップ「ADSワン」で働くブライアン・ワトキンスさん(58)は、離脱に賛成票を投じたという。だが今では、ブレグジットで英国が巨額の資金を節約できるという主張に騙されたと考えている。これは、2016年の離脱派が掲げた主要な論点の1つだった。

英国民の大半と同様に、ワトキンスさんも、国会議員らが今後の針路について八方塞がりになっている現状では、ブレグジットの結果がどうなるか見当もつかないと話す。

「どうやらまた3カ月先延ばしになりそうだし、その後さらに6カ月7カ月と延びていかないと誰が言えるだろう」とワトキンスさんは語る。「残留した方がいいのかもしれない。議員たちは、我々を離脱させようとはしていないではないか」

(翻訳:エァクレーレン)

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