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コラム

コラム:急落した英ポンドを待ち受ける悲惨な運命

[ロンドン 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 英ポンドは足元の急落が収まっても、その先に先待ち受けるのは悲惨な事態だろう。国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まったことで、英国は追加金融緩和が正当化されるほどの景気減速や物価高、非常に大きな政治面の不確実性に直面している。これはポンドにとって悪材料がいくつも重なっていることを意味する。たとえ既に対ドルで30年ぶりの安値を更新しているとしてもだ。

国民投票でEU離脱派勝利となったため、24日の外国為替市場ではポンド売りが一気に広がり、ドルに対する1日の下落率は過去最大を記録した。ポンドの弱さは広範にわたる。国民投票後の2営業日で実効レートは9%近く下落した。こうした下げのペースがいつまでも続くわけではないが、下落余地自体はまだ残っている。通貨オプション市場では、向こう1年でドルとユーロに対するポンドの先安観は微塵も揺らいでいない。

トレーダーは、英経済がこれから減速し、下振れの程度が明らかになるとともにポンドが押し下げられるとみている。またロイター調査によると、エコノミストは英国が景気後退に陥る確率が50%以上あるとの見方を示した。だからこそ短期金融市場は、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)が年内に追加緩和せざるを得ない展開を織り込みつつある。

BOEが政策金利を50ベーシスポイント(bp)下げてゼロとしてもなお、ユーロ圏や日本に比べれば高水準であるのは確かだ。だがポンド安に伴う輸入コスト増加で消費者物価が上がってしまうので、実質ベースで見れば英金利の魅力は薄れる。

政治面での不確実性も極めて大きい。与党保守党と最大野党・労働党はいずれも内部に深刻な亀裂が走っている。その上に英国の経常収支赤字は対国内総生産(GDP)比が5.2%と先進国で最悪だ。つまり外国人投資家の気持ちに経済がほんろうされることになる。今のところ、これらの投資家が英国に温かい態度を示すべき理由はほとんど見当たらない。

●背景となるニュース

*27日の外国為替市場で、ポンドの対ドル相場が31年ぶりに1.32ドルを割り込み、1日の下落率は3.5%となった。英国民投票翌日の24日には過去最大の下落率を記録している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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