September 11, 2019 / 3:04 AM / 5 days ago

アングル:合意なきEU離脱の道狭まる英首相、残された選択肢

[ロンドン 10日 ロイター] - 英国は10月末の期限に合意があってもなくても欧州連合(EU)を離脱すると主張するジョンソン英首相にとって、その公約を実現する道が狭まってきた。

 9月10日、英国は10月末の期限に合意があってもなくても欧州連合(EU)を離脱すると主張するジョンソン英首相にとって、その公約を実現する道が狭まってきた。写真はスコットランドのアバディーンの牧場を訪問したジョンソン首相。6日、代表撮影(2019年 ロイター/Andrew Milligan)

英議会では、10月19日までに議会が受け入れられる新たな合意案をジョンソン氏がまとめるか、合意なき離脱を議会が承認しない限り、同氏に来年1月末まで離脱期限を延期するようEUに要請することを義務付ける離脱延期法を可決した。

ジョンソン氏は、過半数議席を獲得して必要なら合意なき離脱を実現する道筋を付けようと、総選挙の前倒しを2回提案したが、いずれも議会で否決されてしまった。

では次にジョンソン氏が打てるのはどんな手だろうか。

◎新たな合意

ジョンソン氏は、10月17─18日に開催されるEU首脳会議でEU側が新たな離脱案を提示するよう働き掛けると表明している。もしこれまでと違う条件を勝ち取り、英議会がそれを承認すれば、10月末に合意を伴うEU離脱が可能になる。

◎離脱延期法を無視

内閣は議会が可決した離脱延期法を尊重する意向を示しながらも、義務付けられている正確な内容を「ぎりぎりまで追求」したいとの考えを打ち出している。

同法に基づくと、ジョンソン氏は10月19日までに議会が受け入れられる新たな合意案をまとめるか、合意なき離脱を議会が承認しない限り、EUに離脱期限延期を書面で申請しなければならない。

一方ジョンソン氏は期限延期を求めることを明確に否定しており、同氏が単純に同法を無視し、EUに延期申請をしないのではないか、と反対派は懸念している。

そうなると問題は法廷に持ち込まれる公算が大きくなり、前例もないだけに、結果がどうなるか、また白黒がつくまでにどれほど時間がかかるかは、非常に不透明だ。

◎2通の書簡送付

離脱延期法は、ジョンソン氏がEUに送るべき書簡の正確な文言を規定しているが、異なる見解を記した2通目の書簡を送る可能性を排除はしていない。

デーリー・テレグラフ紙は、ジョンソン氏側がこうした方法を選択肢の1つとして検討していると伝えた。

2通の書簡送付となれば、やはり法廷闘争に発展しそうだ。元判事のジョナサン・サンプション氏はBBCラジオで、2通目の書簡は合法ではないとの見方を示した。

◎延期拒否

EUが英国の離脱延期を決めるには、全加盟国の合意が必要になる。

英国以外の加盟国は、再び延期を求められることを不快に思うだろうが、延期要請を拒否して合意なき離脱の責任をあえてかぶる可能性は乏しい。それでも英議会がさらに数カ月紛糾する事態を避けるため、延期に際していくつかの条件を付す公算は大きい。英国の要請と異なる延期期間が提案されてもおかしくない。

英上院では、英国が延期を要請しながら自ら加盟国の一員として合意を拒絶するのではないかとの懸念が浮上した。こうした行動が果たして可能なのかどうか議論は続いており、英政府は今のところ直接的な反応を示していない。

◎首相辞任

ジョンソン氏には、EUに離脱延期を要請せずに辞任するという手もある。英国の政府運営に関する規定である「内閣執務提要」によると、首相が辞任した場合、エリザベス女王は議会の信任を最も得られそうな人物を招き、次期首相就任と組閣を求めることになる。その場合、辞任する首相が適切な候補者を推薦できるので、ジョンソン氏は野党・労働党のコービン党首を指名して、離脱延期の役目を果たさせようとすることもあり得る。

与党・保守党は先週、1人の議員が親EUの自由民主党に移り、離脱延期法に賛成して政権に造反した21人を除名したため、過半数議席を失った。

労働党は下院650議席のうち240議席しかないものの、他の野党や無所属の支持を集めれば過半数を確保できる。コービン氏は以前から、EU離脱を延期する目的のためだけに一時的な「挙国一致内閣」を主導し、その後総選挙に臨むという考えを披露している。

ジョンソン氏にとっては、その選挙で勝利して過半数を奪回し、合意なき離脱について議会の承認を得られるとの期待がある。

別のケースとして、労働党が10月半ばの議会再開後に内閣不信任案を提出して可決され、ジョンソン氏が辞任に追い込まれる可能性も出てくる。その後14日以内に新たな政権が樹立されなければ、総選挙が実施される。

◎現行の離脱協定案(またはその修正版)可決

メイ前首相がEUとまとめた離脱案(移行期間などの詳しい条件を定めた協定と将来のEUとの関係の概要を示した政治宣言)は、議会で3回にわたって否決され、結局ジョンソン氏によって葬り去られた。主な理由は、離脱後のアイルランドとの国境について厳格な管理を避けるために定められた「安全策」を巡り、これを残したいEUと、撤廃したいジョンソン氏の溝が埋まらなかったためだ。

3回目の否決の後には、何人かの労働党議員が次は賛成することを示唆していたため、この離脱案でも十分な賛成票を集められる希望は出てきている。

ただジョンソン氏とすれば、メイ氏の離脱案を安全策を修正しないまま改めて提示するのは政治的に不可能だ。保守党が過半数を割り込んでいるだけでなく、党内の反EU派が他の理由からメイ氏の離脱案に反対していることから、実際十分な支持が得られるかどうかは極めて不確実でもある。

その上、可決のための時間も少ないだろう。ジョンソン氏は10月14日まで議会を閉会し、同19日までに離脱延期要請を義務付けられている。この間はジョンソン氏が新たな合意の実現に期待しているEU首脳会議などで日程が埋まっている。

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