[ロンドン 13日 ロイター] - 英国と欧州連合(EU)は、英国のEU離脱(ブレグジット)草案で合意した。メイ英首相は14日に閣僚を招集して草案を示す。
英政界の反応をまとめた。
<野党労働党のジェレミー・コービン党首>
合意内容が示されたら、その詳細を確認したい。だが、これまでのめちゃくちゃな交渉経緯から判断するに、英国にとって良い草案であるとは考えにくい。
労働党は初めから、雇用と経済を支え、基準や保護を保証するような合意が必要だと明確に主張してきた。もしこの草案が、われわれが求める6つの点を満たさず、国全体のためになるものでないのなら、反対票を投じる。
<ボリス・ジョンソン元外相>
属国化だ。この1000年で初めて、英議会がこの国を治める法律を決められない事態になるのだ。まったく大変なことだ。われわれ自身にまったく発言権がないルールや規制を受け入れなくてはならないということだ。民主主義を信じる人には受け入れられない内容だ。
アイルランド独立以来はじめて、(英領)北アイルランドの一部の事案について、ロンドンよりもダブリン(アイルランド政府)の発言権の方が大きくなる。誰がこんな草案を支持できるだろうか。
<北アイルランドの民主統一党(DUP)のナイジェル・ドッズ副党首>
メイ首相の手腕が試される。彼女が皆を満足させられるかが問われている。極めて難しい説得になると思うが、いずれにしてもまず草案の詳細を見たい。
閣僚や議会の合意を得られるかが重要だ。まだ何の詳細も明らかになっていないので、それが明らかになるのを待ちたい。われわれの立場は明確にしてあり、それに照らして草案内容を判断する。
<DUPのブレグジット関連広報担当者サミー・ウィルソン氏>
骨格の部分は、英首相として同意できないとしてメイ首相自身が拒否した3月の合意案の焼き直しに過ぎない。
メイ首相が今回の草案に同意するなら、英国の解体につながる。また、自主的に離脱を決める権利なしに、英国がEUの組織に留め置かれることになる。
<与党保守党の離脱強硬派議員、ジェイコブ・リースモグ氏>
属国化だ。政府の交渉姿勢の失敗であり、EU離脱実現の失敗であり、英国を分断の危機にさらすものだ。北アイルランドがダブリンにより支配されるという事態を、内閣が承認すると考えるのは難しい。
内閣が草案を阻止し、議会も草案を阻止することを願う。この草案について明らかになっている内容は、極めて満足できないものだ。
<保守党のジュリアン・スミス院内幹事長>
議会の承認を得て、企業や家庭にとって最善のEU離脱を実現するというメイ首相の約束を果たせると確信している。
草案は数百ページからなる膨大な書類であり、精査されるだろう。EU離脱を実務的に達成するための糸口となることを願う。
メイ首相はこの困難な1、2年、粘り強く交渉を続けてきた。英国にとって最善の道を実現するだろう。
<保守党のダンカン・スミス元党首>
(記者団に首相交代は近いかと聞かれ)草案合意の報道が事実なら、答えは確実にイエスだ。自分の党に受け入れられないものを持ち帰れば、トラブルになるのは間違いない。
<スコットランド自治政府のスタージョン首相>
もし首相の『合意』に誰も満足せず、議会で承認されない場合、合意なしのEU離脱が不可避になるという首相の主張を受け入れてはいけない。代わりに、その機会を捉えてより良い選択肢の議論を始めるべきだ。
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