July 12, 2016 / 7:56 AM / 4 years ago

焦点:英次期首相、最初の大仕事は離脱通告の時期決定

[ブリュッセル 11日 ロイター] - 英与党・保守党の党首選からレッドソム・エネルギー担当閣外相が撤退を表明したことで、決選投票を待たずにメイ内相が英国の次期首相に就任することが決まった。新首相は、欧州連合(EU)離脱交渉を担うことになる。

 7月11日、英与党・保守党の党首選からレッドソム・エネルギー担当閣外相が撤退を表明したことで、決選投票を待たずにメイ内相が英国の次期首相に就任することが決まった。写真はロンドンで6月撮影(2016年 ロイター/Phil Noble)

6月23日に実施された国民投票では、メイ氏は目立った活動は行なっていなかったものの残留を支持。英国とEUの向こう数年間の関係は非常に不透明感が強いものの、さまざまなシナリオが考えられる。

最も可能性が高いとみられるブレグジット(英国のEU離脱)に向けた道筋は以下の通り。

<EU法50条>

メイ新首相の最初の大きな仕事は、EU法50条に基づく正式な離脱通告をいつ行うか決めることだ。メイ氏はこれまで急がないと語っているほか、内閣や当局者の助言に制約を受けるかもしれない。また、EU寄りの英議会に離脱の是非を問うべきだとの声もある。

離脱の法的根拠となるEU法50条は離脱協議の期限を2年間と定めている。その間に合意に至らなければEUから単純に締め出されるだけだ。そのため、離脱を通告した段階で交渉の主導権は英国からEU側に移ることになる。一部では合意が成立するまで正式な離脱通告を遅らせるべきとの声も出ている。

英弁護士の一部は、将来的に離脱通告を撤回すればEUにとどまることができると主張。ただ、EU当局者はこうした主張について、2年間の協議期間の延長と同様、EU法50条の手続きを取り消すことはその他加盟国から拒否される可能性があるとしている。多くの加盟国は英国をひいきすることに反対している。

EUは英国に対し、国民投票の結果を尊重し、不透明感をなくすため2019年初めまでに離脱することを約束するよう迫ろうとしているほか、「通告なくして交渉なし」と訴えている。

理論上、英国のEUにおける地位は離脱まで変化はない。実際上では、企業や人々は新たな貿易障壁を恐れ、既に離脱を見据えた行動を取っている。たとえ英国がEUに対する拠出金を払い続け、EU域内の労働者に開放的な姿勢を取り続けたとしても、EU内における英国の影響力は急速に衰えている。

<来年には各国で国政選挙>

EUの指導者や各機関は2019年初頭までの英離脱を特に望んでいる。その頃に離脱協議が進んでいれば、同年5月の欧州議会選挙、および同年11月までの新たなEU指導部発足に混乱をもたらしかねないためだ。また、2021─27年の新EU予算交渉の開始に面倒を生じさせたくないとの事情もある。

しかし、2017年にはいくつかの国政選挙を控えており、特に4─5月のフランス、9月前後のドイツの各選挙は同年の英離脱協議の進み具合を制限する可能性がある。また、17年初めにはオランダ選挙を控えるほか、憲法改正案をめぐる国民投票でレンツィ首相が敗北すればイタリアでも選挙が実施される可能性がある。主要な対抗勢力にEU懐疑派が含まれているため、事態が複雑化する恐れもある。

<新たな関係定まるまでは暫定協定も>

EU法50条は離脱協議の期限を2年間と定めており、加盟国の全会一致でのみ延長が可能だ。離脱協定では英国のEU予算に対する割合の低下、英国にいるEU市民および英国以外のEUにいる英国市民の居住や労働の権利といった問題について取り決めるとみられる。この離脱協定は英国を除く27カ国の特別に計算された票の過半によって承認される必要がある。

しかし、EU法はまた、これらの協議がEUと英国の将来の関係を「考慮に入れる」と規定。EUと英国の当局者は離脱と将来に関する交渉は並行して進めることを想定している。新協定が結ばれるよりも前に離脱という事態になれば、新たな関係が定まるまで、関税の適用を回避するために暫定的な協定で合意する可能性がある。

<英国の変容も不確定要素>

英国とEUにおける最終的な合意内容がどのようなものになるかは現時点で推測の域を出ない。多くの人々が言及しているのは「ノルウェー型プラス」、「ノルウェー型マイナス」、およびこれらを組み合わせた形態だ。

ノルウェーはEUに加盟していないものの、EUへの拠出金を負担しているほか、移動の自由原則といったルール・規制を受け入れることの見返りとしてEU市場へのアクセスを獲得している。英国は自国の経済的影響力を利用して特別な協定を結ぼうとする方針だ。

しかし、英国の一部離脱派は、市場アクセスと引き換えにEUが求める妥協案について拒否することを呼び掛けている。

当面は、EU離脱が差し迫ることによって英国の経済と社会は変容するとみられ、将来的に英国とEUの双方が何に最も価値を置くか見通しづらい状況となっている。EU寄りのスコットランドの英国からの独立、北アイルランドのアイルランド統一に向けた動きなど不確定要素もある。

EUも変容している。一部加盟国が統合深化を目指す一方で、一部加盟国はEUと距離を置いている。こうした事情も離脱協議の行方に影響を及ぼすだろう。

Alastair Macdonald記者 翻訳:川上健一 編集:加藤京子

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