[ロンドン 10日 ロイター] - ジョンソン英首相は10日の議会開会に向けて策定した施政方針演説にさまざまな法案を盛り込み、国民が苦しんでいる生活費の増大や地域格差の問題を経済成長の再加速によって乗り切る考えを示した。5日に行われた統一地方選でジョンソン氏の率いる与党の保守党が議席を大幅に減らしたことを受け、経済重視を通じて有権者の支持を取り戻す狙いだ。
ただ人々の痛みを和らげるための支出より「財政再建」を優先する意向は変わっておらず、野党からは厳しい批判の声が出ている。
これまで施政方針演説は議会開会式でエリザベス女王が読み上げるのが慣例だったが、今年は女王が体調の理由から欠席したため、チャールズ皇太子が演説を読み上げた。女王が開会式に姿を見せなかったのは59年ぶりという。
ジョンソン氏はこの演説で、物価高騰対策としてできることは何でもすると表明しつつも、いくら情熱があって創意工夫をしても単に財政支出だけで問題を乗り切るのは不可能だとし、成長を通じて困難を脱する必要があると強調。高賃金で高技能の雇用を創出することが英国の成長を押し上げ、コロナ禍後のショックを突破する力になると訴えた。
演説で提案されたのは、繁華街の再生や不法な金融取引の取り締まり、ロンドンの金融街シティーを世界中の投資家にとってより魅力ある場所にすることなどだった。
最大野党・労働党のスターマー党首は、生活費増大問題への対応が「お粗末だ」と切り捨て、今の政府の感覚はもはや時代遅れで、現実から遊離した首相が率いる内閣のエネルギーと発想は枯渇しているとこき下ろした。
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