December 21, 2018 / 2:00 AM / a month ago

焦点:100兆円予算2年連続の可能性、貯蓄・低金利依存にいずれ限界

[東京 21日 ロイター] - 2019年度当初予算案は、一般会計の総額が初の100兆円超えとなったが、消費増税への備えを含めた経済対策や防衛費増強の方針などを合わせると、20年度も100兆円台となる可能性が指摘されている。膨張する財政の持続性を、巨額の国民貯蓄と低金利に依存する構図だが、超高齢化が加速する20年代前半までには限界が露呈するとの指摘が専門家から出ており、今後は高齢化と財政の持続性の両立が焦点に浮上してくる。

 12月21日、2019年度当初予算案は、一般会計の総額が初の100兆円超えとなったが、消費増税への備えを含めた経済対策や防衛費増強の方針などを合わせると、20年度も100兆円台となる可能性が指摘されている。写真は都内のビジネス街で2016年1月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

<並立する「増税環境整備評価」と「対策過剰」の声>

「来年10月にきちんと消費税が引き上げられることが、何より重要だ。だからこそ環境整備のための100兆円規模の予算も、批判されるものではない」──。

政策研究院大学院大学の竹中治堅教授は、来年度予算案をこう評価する。増税対策としての各種の家計負担軽減策や教育無償化は、消費の悪化を食い止めるものであり、公共工事の増加分は、人件費や資材高騰で致し方ないという見方ができるという。

一方、18年度より3.7兆円程度も膨らみ101兆円台に乗せた大型予算は、消費税対策を過剰に盛り込み、将来の財政再建に禍根を残すとの見方も出ている。

SMBC日興証券・シニアエコノミストの宮前耕也氏は、半年分の増税の19年度より20年度当初予算の方が対策費も膨らむと指摘。「100兆円超の予算が、2年続く可能性は極めて高い」と指摘する。

19年度予算案の中身から同氏が試算した結果、増税対策としての臨時・特別措置に加えて、減税措置や教育無償化などを合わせた「経済対策」全体の規模は、19年度単年度では3.1兆円程度、 18年度の2度の補正予算も合わせると6.5兆円前後に上る。20年度予算は3.9兆円程度となる。

18年度補正、19、20年度本予算の合計では、10兆円超の規模に上ると計算できるという。

<高い税収見込み、社会保障費抑制も小幅に>

こうした歳出増加は、政府の強気の成長率見通しを前提にした税収増を背景としている。19年度の成長率見通しは1.3%と、民間見通し(ESPフォーキャスト調査)の0.68%よりかなり高め。

税収見通しも62.5兆円と前年度比3.4兆円の増収見込みだ。

税収増が前提となったことも影響したのか、19年度予算案では社会保障費の抑制に本腰が入らなかった印象だ。

19年度の同費用の伸びは4800億円。 過去3年間の年間増加額5000億円は下回ったものの、自然増からの抑制幅は1200億円にとどまり、過去3年間より小幅になった。

高齢化のペースは過去3年間よりかなり鈍化するため、本来であればより低い伸びに抑制できたはずだ。医療の高度化や介護費用の増大が進む社会保障費の抑制は、目標を掲げて取り組む必要があるが、今回の予算編成方針では、その具体的数値目標は掲げなかった。

<厳しい財政状況変わらず 20年代の貯蓄不安に備えを>

他方、国債費は23.5兆円と歳出全体の2割超を占める。国・地方を合わせた債務残高が、国内総生産(GDP)の2倍程度となっている厳しい財政状況は緩和していない。

基礎的財政収支(PB)は、18年度の2度の補正予算で税収が上振れたにもかかわらず、国債発行が増額されために悪化。19年度当初予算ではPB改善が見込まれるが、補正後予算のベースで15年度以降、改善が止まっていることを勘案すれば、19年度に対する評価は尚早だ。

こうした安倍政権の成長志向の財政方針は、当初から安倍晋三首相自身が掲げている大胆な金融緩和と機動的な財政運営というアベノミクスの根幹でもある。19年度の予算編成基本方針でも「金融政策に成長志向の財政政策をうまく組み合わせる」ことを指示している。

ただ、こうした構図は20年代半ばには限界に近づく可能性がありそうだ。

立正大学経済学部の池尾和人教授は、日本の財政の持続性は、国民貯蓄による国債消化と、超低金利を生み出している金融政策とが一体となって維持されている現象であると分析。

「2020年代に入ると、国民貯蓄を資金源とした国債消化の様相が変化する可能性がある」と見ている。

22年に団塊世代が後期高齢者に移行し始め、医療費や介護費が急増。貯蓄も減少が予想され、低金利環境も投資貯蓄バランスが崩れれば、金利上昇に転じる可能性が高まるという。

池尾教授は「その時までに、一段の増税や歳出カットなどの準備をしておくべき」と警鐘を鳴らす。

高齢化の一段の進展と、財政の持続性維持が両立できるのか。その行方によって、日本の将来像は、大きく変化しそうだ。

中川泉 編集:田巻一彦、石田仁志  

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