[ニューヨーク 20日 ロイター] 米金融サービスのCITグループCIT.Nは20日、債権者から30億ドルの有担保融資を受けると発表した。また今後、包括的な債務再編を開始し、財務体質を強化する方針を明らかにした。
100万社近い中小企業向け融資を手掛ける同社は、債務再編計画の一環として、8月17日に期日が到来する変動利付き優先債について公開買い付けを開始した。
公開買い付け期限は7月31日で同債券の元本1000ドルにつき、825ドルで買い取る。
債権者からの30億ドルの融資期間は2年半。調達資金で、重要な中小企業顧客向けの融資を確保するとしている。
30億ドルの融資のうち20億ドルはこの日実行され、残り10億ドルは10日以内に実行されるという。
関係筋によると、融資の金利は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)3カ月物に10%ポイント上乗せした水準。これは年利約10.5%に相当する。
CITの証券化されていない資産100億ドル超が担保になるという。
関係筋によると、融資を実行する社債権者には、米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)が含まれる。
融資を確保したことで、破産法の適用申請は、ひとまず回避できたが、アナリストの間では、現在の形で事業を継続するのは難しいとの見方も出ている。
一部のアナリストや銀行関係者は、破産法の適用申請を先送りする効果しかないのではないかと指摘。CITの顧客は同社との取引継続に慎重になっており、CITも資本市場からの資金調達は難しいという。
ある専門家は、会社側から今後の具体的な計画が示されていないと指摘。債権者との交渉を通じ、不採算部門から優良資産を分離する「秩序あるプロセス」を目指すのではないかとの見方を示した。
BBKのマネジングディレクター、マイケル・ゴールドスミス氏は、今回の融資に高い金利を支払うことが、事業存続を脅かす要因になると指摘。
「CITは、現在採算が取れていない取引先への融資で利益を出すことを求められる。あまり良い兆候ではない」と述べた。
ただ、融資を確保したことで、債務再編を進める時間的な余裕ができ、取引先の中小企業も日々の運転資金が調達できない事態を避けられる可能性もある。
同社は、7月23日に予定していた第2・四半期決算の発表を中止することも明らかにした。
20日のCIT株は、融資確保への期待から78.6%高の1.25ドルで取引を終了。時間外取引でも7.2%値上がりした。