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インタビュー: HOYAのペンタックス部門は今期黒字化へ=CEO

 8月18日、HOYAの鈴木CEO(写真)はグループ収益の足を引っ張っているペンタックス部門について、2010年3月期に営業損益が黒字化するとの見通しを示した。5月撮影(2009年 ロイター/Kiyoshi Ota)

 [東京 18日 ロイター] HOYA7741.Tの鈴木洋最高経営責任者(CEO)は18日、ロイターとのインタビューで、グループ収益の足を引っ張っているペンタックス部門について2010年3月期に営業損益が黒字化するとの見通しを示した。

 特に赤字が深刻なデジタルカメラ事業も今期は収益が大幅に改善する見込み。ただ、デジカメ事業は単独での生き残りは難しいとして、他社との連携を模索していく考えを示した。

 医療用の内視鏡とデジカメで構成されるペンタックス部門は09年3月期に115億円の営業赤字を計上し、4―6月期も9億円の営業赤字だった。鈴木CEOは「輸出が主体のペンタックス事業は為替に影響されるが、だんだんよくなる基調にある。来年1―3月にカメラ市場に大きな変調がなければ(通期で)黒字にはなるだろう」との見通しを示した。デジカメ事業の赤字についても「前期は価格下落でカメラを投げ売りをする状況だったが、今期は量を追わずにしっかり売り切れば収益は改善できる」と語った。

 一方で、今期のデジカメの販売計画は237万台(前期実績は226万台)となっている。首位のキヤノン7751.Tの2400万台、ソニー6758.Tの2000万台、ニコン7731.Tの1395万台、オリンパス7733.Tの1030万台と比べて見劣りしている。このため鈴木CEOは「デジカメ事業がこのサイズでやっていけるのか疑問だ。八方塞がりかもしれない」と述べて、長期的にデジカメ単独での生き残りは難しいとの見解を示した。その上で「何かとの組み合わせを考えなければいけない」として、他社との連携を検討していく構えを示した。連携相手はカメラメーカーに限定せず幅広く探していくという。

 <M&Aは最大1500―2000億円を想定>

 現在のHOYAの主力製品は、半導体や液晶パネル製造装置用の回路基板やハードディスク駆動装置(HDD)用のガラス基板だが、将来的な成長事業として、医療・ヘルスケアの分野を強化する方針を示している。この分野のM&A(合併・買収)について鈴木CEOは、最大1500─2000億円程度の規模を想定しているという。ただ、実施時期については「もう少し時間が経った方がM&Aの環境はよくなると思う。バリュエーション的には今すぐではない」として、案件の価格動向を見極めながら検討していく姿勢を示した。

 HOYAは10年3月期の連結業績予想を開示していない。ただ、鈴木CEOは今期の連結売上高の見通しについて「海外の売り上げは為替で縮むし、カメラ事業はリストラで意識して縮めている。4000億円プラス程度になるのではないか」との見方を示した。前年同期は4541億円で、前年比で12%程度のマイナスになるイメージだという。主力製品の受注は回復の動きを見せているが「これから右肩上がりに伸びるイメージは持っていない。10―12月期以降は大きく伸びる状態ではないだろう」と慎重な見方を示した。

 ロイターのコンセンサス(トムソン・ロイター・エスティメーツ)によると、主要アナリストの10年3月期の業績予想の平均は、売上高が前年比12%減の3983億円、営業利益は同12%減の520億円となっている。前期はリストラでデジカメの生産拠点を海外に移したが、今後も、引き続き構造改革を実施する方針。今期は、生産・研究拠点の統廃合を含めた構造改革費用として100億円弱の特別損失を計上する見込みだという。

 (ロイター日本語ニュース 村井令二 竹中清)

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