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7月機械受注の国内民需は過去最低水準、外需は2カ月連続増加

 [東京 10日 ロイター] 内閣府が10日に発表した7月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比9.3%減の6647億円となり、1987年4月の現行統計開始以来、最低水準となった。2カ月ぶりの減少。

 ロイターの事前予測3.5%減を下回る減少となった。前年比では34.8%減だった。ただ、官公需と外需は2カ月連続で増加したことから、受注総額は3カ月連続で増加となった。国内民需動向からみて、設備投資回復はまだ先のこととなりそうだ。

 船舶・電力を除く国内民需は、製造業からの受注が前月比20.4%減で、3カ月ぶりに減少した。一般機械や非鉄金属、その他輸送機械などからの受注が落ち込んだが、6月に大幅増加した反動減の側面もあり、内閣府では製造業は底堅い動きが続いているとみている。

 非製造業は同2.8%減となった。2カ月ぶりの減少。運輸業や通信業、卸・小売などを含むその他非製造業からの受注が落ち込んでいる。非製造業全般としてまだ製造業のように底打ち感は出ていない。

 外需は同21.8%増。6月に43.8%増と大幅増加した後も2カ月連続で2ケタ増となった。ただ水準はまだ前年比で45%も低い。このまま外需が増加基調に戻るかどうかは世界景気の回復次第であり、不透明な状況と内閣府では見ている。

 国内民需の機械受注は、まだ減少が止まらず水準も過去最低となったものの、減少のテンポは今年初めあたりまでと比べて落ち着いてきており、内閣府は、7月機械受注の判断を「減少テンポが緩やかになってきている」として、今年3月からの判断を据え置いた。

 7─9月の機械受注の見通しは前期比8.6%減と発表されているが、8、9月が前月比それぞれ4.3%減でもこの見通しは達成可能。また7月以降8、9月と横ばいで推移したとすると、前期比4.6%減となる見通し。 

 金融市場の関係者からは「7月の数字は事前予想から下振れとなったものの、予想を上回る6月の増加からの反動減の範囲内。6月の上振れでも、それをもって設備投資の回復という見方は出てこなかった。毎月、振れの大きな指標でもあり、基調は変わっていないだろう」(大和証券SMBC金融証券研究所・投資戦略部部長の高橋和宏氏)との見方がある。一方で、「先月の大幅な受注回復で高まった受注下げ止まり期待が遠のくネガティブな結果と言わざるを得ない。生産指数は順調に回復し、企業業績が持ち直しているが、それが設備投資回復になかなか繋がらない」(マネックス証券チーフエコノミスト・村上尚己氏)との受け止め方も聞かれた。 

 機械受注統計は機械メーカーの受注した設備用機械について毎月の受注実績を調査したもの。設備投資の先行指標として注目されている。

 (ロイターニュース 中川 泉記者)

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