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日本特化型ファンドを年内設立、2─3年で管理資産3倍に=メープルツリー

 [東京 16日 ロイター] シンガポールの政府系ファンド傘下の不動産会社メープルツリー・インベストメンツは、年内に800億円規模の日本特化型不動産ファンドを立ち上げる。

 大都市近郊のデータセンター、研究開発施設、オフィスビルなどビジネス施設を投資対象とするもので、エクイティ分約300億円は海外機関投資家などから調達する。日本子会社のメープルツリー・インベストメンツ・ジャパンのテレンス・ヘン代表取締役が16日、ロイターとのインタビューで明らかにした。

 メープルツリーはシンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングス[TEM.UL]の100%子会社。07年に投資助言会社として設立した日本法人は、シンガポールの上場REIT(不動産投資信託)であるメープルツリー・ロジスティクス・トラスト(MLT)MAPL.SI向けの物流施設取得に関与し、現在、国内12拠点で物流施設を管理している。日本の管理資産額は約600億円。伊藤忠商事8001.Tと共同で取り組む物流施設建設や新規ファンドを通じたビジネス施設取得などで、管理資産額を年内に1000億円規模に引き上げ、2─3年後には現行の3倍強となる2000億円規模に拡大したい考え。

 <今が買い時>

 ヘン氏によると、国内の物流施設市場は成熟しており床面積の拡大は期待できないが、物流サービスの高度化などで新しい物流施設に対する需要は根強い。同氏は「日本ではほとんどの物流施設が古く、半分以上は自社で保有しており、競争力強化の流れの中で新規スペースに対するニーズは高い」とみる。

 同社のポートフォリオは、主要テナントが希望する立地や建築仕様に合った施設を提供し、長期契約を結ぶBTS型物流施設が中心で、08年の米リーマンショックに伴い不動産相場が軟化した後も「比較的安定した運営ができた」という。「元々REIT向けなので値上がり益は狙わない。投資家に安定的な配当を支払えるような資産を探す」ことが基本戦略となっている。

 新たに立ち上げるファンドも、東京、大阪、名古屋周辺のビジネス施設の中で、主要テナントと長期契約があり「5─10年は安定収入を得られるアセット」が投資対象になる。既に江東区門前仲町のオフィスビルを取得したほか、東京近郊で4つの案件を検討中で、実現すれば総額130─140億円規模の投資になるという。

 リーマンショック以降、海外勢による国内不動産投資は下火になっているが、ヘン氏は「今仕込まないと次に買うのは難しくなる」と述べ、他の投資家が市場に戻ってくる前に投資を加速したいとの意向を示した。

 新規ファンドの資金調達先については言及を控えたが、アジア、中東、欧州など世界の投資家に打診する予定で、安定配当を好む年金基金など長期投資家を呼び込めるとみている。

 <日本のポートフォリオ拡大>

 メープルツリーは日本に進出して3年経つが、今後2─3年でポートフォリオの拡大を加速する。ヘン氏は「ざっくりした数字だが2─3年後に日本の管理資産が2000億円にしたい」と述べ、内訳としては、1000億円程度が上場REIT向け物流施設、300億円程度が物流施設開発、800億円程度が新規ファンドを通じたビジネス施設になるとの見通しを示した。

 同氏によると、REIT向け物流施設分野で3つの案件が進行中で、成立すれば総額130億円規模の投資になる見通し。また、同社は昨年12月に伊藤忠と物流施設特化型の共同投資ファンドを設立することで合意したが、このファンドを通じた開発案件についてもヘン氏は「年内に2件くらいは成立させたい」と語った。

 (ロイター日本語ニュース 大林優香記者、勝村麻利子記者)

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