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金融庁が空売り規制の抜本改革を検討=関係筋

 [東京 24日 ロイター] 金融庁が空売り規制の抜本的な見直しを検討していることがわかった。複数の関係筋が24日、明らかにした。

 11月24日、複数の関係筋によると、金融庁は空売り規制の抜本的な見直しを検討している。写真は1月、モニターを見るディーラー。東京で(2010年 ロイター/Toru Hanai)

 価格規制「アップティック・ルール」の廃止や空売りの手口(ポジション)の報告範囲の拡大を想定する。投資行動の自由度を高めることで、株価が市場取引を通じて適正価格に自律的に収れんする「価格発見機能」の発揮を促す一方、監視の目を強化し、不公正・不適切な取引をけん制する。流動性の低下が懸念される東京市場の活性化に向け、金融市場のてこ入れを図る施策の一環でもある。

 影響度調査を踏まえて検討を進めるため曲折が予想されるが、実現すれば、諸外国に比べて厳しいとされた日本の空売りをめぐる規制の大転換になる。金融庁は諸外国による空売り規制の動向を踏まえながら検討を進めるが、相場の回復を確認するまでは改革を実施しない。

 金融庁による見直し検討では、直前に市場で成立した価格以下での空売り注文を禁止するアップティック・ルールの廃止と、発行済み株式総数の0.25%以上となる空売りポジションの報告範囲の拡大が柱となる。東京証券取引所[TSE.UL]や証券界からも、同様の見直しを求める意見が出ている。

 <アップティック・ルールの廃止で取引の自由度を向上>

 株の空売りをめぐる価格規制は、1948年に導入された。現行のアップティック・ルールは、過度に投機的な空売りを通じた急激な株価の変動を抑制する効果があるとされる。ただ一方で市場での自由取引を妨げる面があり価格発見機能の低下につながりかねないとの指摘もある。金融庁は、投資行動の自由度を高めることで、適正な株価形成をうながしたい考え。

 海外では、欧州はアップティック・ルールを採用しておらず、米国も2007年に撤廃した。米国は今年、急激な株価変動を抑制する措置として、緊急時に限定した発動を認める仕組みを再び取り入れたが、全面的に規制する日本は少数派となる。

 金融庁は、同ルールを廃止する一方、米国と同様、緊急時に対応できる仕組みを整える方向。米国では、1日の株価下落率が10%を超える場合、アップティック・ルールを発動する仕組みとなっている。

 <空売り手口報告の強化で不正取引の監視を強化>

 一方、投資行動の自由度を高めると不公正取引が増えるおそれもある。このため、空売りポジションの報告範囲を拡大させて市場に対する監視を強化し、けん制する。

 空売りポジションをめぐる現在の報告・開示規制では、発行済み株式総数の0.25%以上の空売りポジションの報告と、取引所による公表を求めている。金融危機後に相場環境が不安定化したことを受け、臨時措置として2008年、時限的に導入した経緯がある。金融庁は、報告対象となる空売りポジションの規制比率引き下げと、開示対象となるポジションの比率引き上げを検討している。

 海外では、米国は報告・開示義務を課していない。欧州は、空売りポジションが発行済み株式総数の0.2%以上の場合に報告させ、同じく0.5%以上の場合、開示させる規制を2012年から導入する方向となっている。

 機関投資家などの市場参加者は、競合他社に自社の手口が明らかになってしまうとしてポジションの開示には消極的な一方、不正取引監視の観点から、報告範囲拡大への抵抗感は少ないとの意見が出ている。金融庁は、欧州の規制や市場関係者からの意見を参考にしながら、ポジションの全面的な報告義務化も視野に、適正な比率を検討する。

 <相場回復確認までは改革実施せず>

 金融庁は、足下の市場環境が依然、不安定だと見ており、2008年に導入したポジション報告・開示や、株の手当てのない空売り(ネーキッド・ショート・セリング)を禁止する臨時規制を7回、延長してきた経緯がある。検討を進めている抜本的な規制改革は、これら臨時規制の「出口戦略」としての意味合いもあり、相場の回復が確認されるまでは実施しない。アップティックルールの廃止による相場へのインパクトや、ポジション報告のためのシステム整備に向けた業界の経済的な負担なども慎重に調査する必要があると考えており、実現に向けては曲折も見込まれる。

 空売りをめぐる規制では、これらとは別に、上場企業が公募増資を発表した後の一定期間の空売りに関連した規制について、金融庁と東証が協議している。足下では、インサイダー取引の疑いのある不自然な投資行動によって日本の市場がねらい打ちにされているとの指摘もある。金融庁は、一連の改革を通じ、アジアの他市場に比べ地位低下が指摘される日本の株式市場への信頼回復と取引の活性化を図りたい考え。

 (ロイターニュース 平田紀之)

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