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米長期金利の10年物米国債利回りが半年ぶり高水準

 森佳子記者 

 [東京 8日 ロイター] 米長期金利の指標となる10年物米国債利回りが3.25%と半年ぶりの高水準に上昇した。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が5日に量的緩和第2弾(QE2)の拡大も視野に入れている事を示唆した直後の利回りの高騰で、金融・証券市場は不安定さを増している。

 米政治・経済界からは、「物価安定」と「雇用最大化」というFRBの「デュアル・マンデート(2つの使命)」を、物価安定のみに限定すべきとの意見も出てきた。 

 米10年国債利回りは8日の東京市場で、一時3.2550%付近まで上昇し、6月以来半年ぶりの高水準に達した。米長期金利の上昇を受け、10年物日本国債利回りも1.245%まで上昇し、半年ぶり高水準となった。 

 米国の長期金利は、8月にバーナンキ議長がジャクソンホールでの公演でQE2を示唆したあと、低下を続けていたが、11月3日にQE2の実施を宣言して以降は、むしろ上昇傾向にあり、5日のバーナンキ発言の金利押し下げ効果も長続きしなかった。 

  <FRBの使命を1つに>

 FRBは約100年前に、マネーサプライのコントロールを通して、物価の安定を維持するという任務を帯びた、独立した中央銀行として設立された。しかし、1970年代に連邦議会は、物価安定に加え「雇用の最大化」という使命をFRBに課した。FRBは後付けのミッションである「雇用の最大化」を目指し、強力な金融緩和を推し進めている。   

 米議会財政委員会メンバーのポール・ライアン共和党議員とスタンフォード大学教授で元米財務次官のジョン・テイラー氏は、インベスターズ・ドット・コムに寄稿し、「米連邦準備理事会(FRB)が6000億ドルの追加国債購入を表明したことは、抗議の嵐を招いているが、これを機に中央銀行が果たすべき『まっとうな役割』について議論するべきだ」と主張した。  

 両者は、FRBが健全な金融政策に再び焦点を合わせることを可能にし、他の国家目的を達成する政策について、意見が割れがちな政治的ディベートに、FRBを巻き込まないように、現在の「デュアル・マンデート」からFRBを解き放ち、明確な報告義務と説明責任を伴う「長期的な物価の安定」という単一の使命に限定するべきだ、との見解を明らかにした。  

  <QE1、QE2>

 FRBを含む量的緩和論者によると、企業は商品の付加価値低下に見合った賃金カットを実施出来ず、コスト削減が出来ないので雇用を増やせない。そこで、金融緩和という一種の補助金を企業に与えることで、企業は投資を再開し、雇用が増え、FRBは「雇用の最大化」というマンデートが達成できることになる。  

 バーナンキFRB議長は5日、異例のテレビ・インタビューに応え、量的緩和にもかかわらず11月に9.8%に上昇した失業率について、より「正常な」水準である5―6%に下がるには4―5年かかるとの見方を示し、米景気回復が思わしくなく、失業が高水準のまま改善しない場合には、6000億ドルを上回る米国債の買い入れを実施することを示唆した。 

 「債券市場では、QE2が完結しないまま中断するか、来年半ば以降は継続されないのではないかという需給不安に加え、FRBのプリンティング・マネーによる国債買い入れが、いずれインフレを高めるという懸念に焦点を当てているようだ」と東海東京証券のチーフエコノミスト、斎藤満氏は言う。 バーナンキ議長は5日、上記のコメントに加え、「インフレ高進の兆しが見えたら、すぐに流動性を吸収する。必要なら15分で金利を上げることも可能」とし、インフレ懸念からくる長期金利の上昇に「口先介入」した格好だ。

 これらは、「夏にジャクソンホールで資産買い入れ、インフレ期待醸成による実質金利の引き下げ論を展開した当時と比べると、かなりトーンダウンしている」と斎藤氏は言う。  

 しかし「QE2によるリフレ策を続ければ、自ずと長期金利に上昇圧力がかかる。しかも、この30年間の金利低下で足もとの約3%という長期金利水準は、この1年で4%強の名目成長率を大きく下回っていて、何らかのきっかけで、反転上昇しやすい」と斉藤氏は警告する。 

 テイラー教授とライアン議員は、「QE1は経済を立ち直らせることに失敗した。QE2についても、前代未聞のバランスシート拡大のあと、FRBがいつ、どのように、バランスシートを圧縮するのか、FRB自身が分かっていないのではないか、との疑念がもとで、経済を一段と不安定にしている」と分析する。  

 「もし、資産を購入する為のマネーが、適切かつ予測可能な方法で引き揚げられなければ、FRBは高インフレとドルの下落という危険を冒すことになる」と両氏は述べ、現在進行する長期金利上昇は、市場からの警告であるとした。 

 FRBが2日発表した資産構成資料によると、貸借対照表(バランスシート)の規模は、1日時点で2兆3294億ドルだった。米国債の保有高が大幅に増えて住宅ローン担保証券(MBS)や政府機関債の減少を相殺し全体水準を押し上げた。同バランスシートは2008年9月までは1兆ドルを下回っていた。  

 (ロイター 森佳子記者;編集 石田仁志) 

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