[ニューヨーク 21日 ロイター] 米財務省のブレイナード財務次官(国際問題担当)は21日、人民元上昇に向けた中国の為替政策へのコミットメントには前進が見られるものの、米中間の他の問題も含め、今後一層の取り組みが必要との認識を示した。
ブレイナード次官は外交問題評議会で講演し、「中国は為替相場の柔軟性拡大に向けたコミットメントをあらためて確認し、均衡の取れた水準で基本的な安定を維持するというこれまでの言及を撤回した」と指摘。人民元が過去半年間で約3.5%上昇したことを評価しつつも、一段の措置が必要との見方を示し、「中国自身もこの重要な問題について、今後どう進めていくか内部で議論している」と述べた。
その上で「中国が人民元を一段と市場原理に基づく国際通貨にする取り組みを進めるなか、米国は引き続き密接かつ重点的に関与していく」とした。
また知的財産権の問題をめぐっては、胡主席の訪米中に知的財産権の保護強化策に関する前進が見られたことは喜ばしいことだとして一定の評価を示した。中国は、政府機関による海賊版ソフトウエアの使用禁止を徹底させる仕組みの導入など、取り組みを強化する方針を示したという。その上で次官は「現状に甘んじている余裕はない」として、今後も引き続き取り組んでいく考えを示した。
一方、米中両国間の投資協定については、議論を継続していく方針を明らかにした。投資協定をめぐっては双方の取り組み方に相違があり、新たな協定にどのモデルを用いるかについて集中的に議論されているという。その上で次官は「問題解決には時間を要する」との見方を示した。