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福島原発で汚染水の放出続く、東電株は59年ぶり安値更新

 4月5日、東京電力福島第1原発では、高濃度の放射能汚染水の保管先を確保するため、比較的汚染度の低い水を海に放出する作業が継続している。写真は都内の東電本店前で撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

 [東京 5日 ロイター] 東京電力9501.Tの福島第1原子力発電所で、高濃度の放射能汚染水の保管先を確保するため、比較的汚染度の低い水を海に放出する作業が4日夜から継続している。8日までに合計1万1500トンを放出する。

 枝野幸男官房長官は5日午前の会見で、意図的な放出は大変残念であり、漁業などの関係者に申し訳ないと陳謝した。

 東京電力株はこの日、朝方から売りが優勢となり、午前中に1951年12月につけた上場来安値393円を割り込んだ。午後に入っても売りは止まらず、ストップ安の362円で引けた。 

 福島第1原発では、1000ミリシーベルト以上という極めて高い放射線量を持つたまり水が2号機のタービン建屋内で発見されるなど、高濃度の放射性物質を含む水の存在が、冷却機能復旧の大きな障害となっている。これらの水を各号機の復水器に移す作業を開始したが、量が多く、かつ時間がかかるため、東京電力は集中廃棄物処理施設などにも汚染水を移す方針に変更。4日夜から比較的汚染程度の低い同施設内の水の放出を開始した。5、6号機の建屋周辺の「サブドレンピット」と呼ばれる井戸から汚染水を放出する作業も4日夜、始まった。

 枝野官房長官は「より高い濃度の汚染水が海水に流出するのを防ぐため、やむを得ない措置であるとはいえ、意図的に放射性物質を含んだ水を流さざるを得ないのは大変残念で申し訳ない」と陳謝。東電側に対して「海への拡散を防ぐ措置を取るよう、督促し続けなければならない」と強調した。 

 一方、同原発では2号機のピット周辺から流れ続けている高濃度の汚染水の流出経路特定のため、4日朝にはトレーサーを投入した。しかし、経路は特定されず、5日はピット周辺の地盤の部分にトレーサーを流して水の流れを把握した上で、薬剤を注入する考え。経済産業省原子力安全・保安院によると、高濃度の放射性汚染水が流れ出ている2号機の取水口付近で2日に採取した海水からは、法定濃度限度の750万倍の放射性ヨウ素131を検出している。

  東京電力株は5日、放射能汚染水の放出などを受けて、朝方から売りが強まり、午前の取引で1951年12月につけていた上場来安値393円を59年ぶりに割り込んだ。午後に入っても売りは収まらず、引けにかけてさらに値を下げ、制限値幅いっぱいの前日比80円安となる362円で引けた。

 東京電力は5日、2011年3月期決算の発表日時を未定にした。とりまとめ作業や地震による影響額の算定に時間を要するため。当初は4月28日の発表を予定していた。 

 (ロイター日本語ニュース 編集 石田仁志)

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