[東京 17日 ロイター] 政府は17日朝の「政府・与党社会保障改革検討本部の成案決定会合」で、「2015年度までに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」ことなどを柱とする社会保障・税一体改革の最終案をまとめた。
消費税収を社会保障の目的税とすることに「原則として」との文言を追加。国と地方の配分に関しては「基本的枠組みを変更しないことを前提」と追記した。消費税を含む税制抜本改革の実施については「経済状況の好転を前提」とする。
菅直人首相は会合後のあいさつで「残された論点がある」としながらも、予定通り6月20日に政府・与党社会保障改革検討本部で最終決定したいと語った。
<税制抜本改革、経済状況の好転が前提>
成案決定会合を前に政府税制調査会が16日に提出した意見書では「消費税を15年度までに10%に引き上げる」との文言を明示できず、17日の成案決定会合に判断を委ねるかたちとなっていた。
最終案では「2015年度までに段階的に消費税率(国・地方)を10%まで引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保する」と明記、原則として社会保障の目的税とする。さらに消費税を含む税制抜本改革の実施については「経済状況の好転を前提」とし、2011年度中に必要な法制上の措置を講じる。法人課税については、課税ベースの拡大と合わせて、実効税率の引き下げを行うとした。
与謝野馨経済財政担当相は成案決定会合後の会見で、今回の文言変更について、基礎的財政収支に関する目標が達成されることを確認した上で行ったと語った。
野田佳彦財務相は17日の閣議後会見で、経済状況の好転が前提となったことに関して、「経済に異変が起きるときにできないのは当然だ。弾力条項的な意味合いで入った文章だ」と説明した。
<デフレ脱却へ日銀と緊密に連携>
さらに最終案では「デフレ脱却実現のため、日銀との緊密な連携の下、強力かつ総合的な政策努力を最大限行い、日本経済を本格的な成長軌道に乗せていく」との文言が盛り込まれた。デフレ下での消費税増税に異論を唱える与党内の状況などにも配慮したかたちだ。
ただ、与謝野経済財政相は「デフレ脱却で日銀に何か求めるにも限界がある」としている。
(ロイターニュース 吉川 裕子、基太村真司、石田仁志;編集 吉瀬邦彦)