[ニューヨーク 2日 ロイター] 2日のニューヨーク外国為替市場では、スイスフランが対ドル・ユーロで最高値を更新した。世界経済の減速と欧米の債務問題を背景に資金の避難先とされており、さらなる上昇も予想されている。
米国では上院で債務上限引き上げ法案が可決され、デフォルト(債務不履行)は回避されたものの、依然として格下げ懸念が影を落としている。
ドル/円JPY=は0.1%安の77.13円。1日に電子取引EBSでつけた安値の76.29円からはそう遠くない水準にとどまっている。過去最安値は3月の震災後につけた76.25円。
日本の当局者からは、円高をけん制する発言がでている。
メロン・キャピタル・マネジメントのマネジングディレクター兼世界投資ストラテジストのJonathan Xiong氏は「ファンダメンタルズの悪化と、欧州・米国両方に対する懸念という2つの最悪の組み合わせで、市場はさらに不安定化するだろう。危機が続くようなら、スイスフランは今後も安全通貨とされる」と指摘した。
この日発表された6月の米消費支出は約2年ぶりの減少となった。
欧州では、ユーロ圏の救済基金の規模に対する懸念でイタリアとスペインの市場に売り圧力が強まり、イタリア国債利回りは14年ぶり高水準となった。
ドルは0.76425スイスフランCHF=EBSまで下落した後、2.3%安の0.7654フランで推移。7営業日連続で最安値を更新した。
ユーロEURCHF=EBSは2.7%安の1.0873スイスフラン。一時は1.08451フランまで下落した。
対ドルでユーロEUR=は0.3%安の1.4202ドル。7月21日以来の安値1.4151ドルをつける場面もあった。
アナリストの多くは、米格下げは大方織り込まれており、実際に発表されてもドル相場への影響は限定的とみている。
フィッチ・レーディングスはこの日、米連邦債務上限引き上げに関する合意は、米国がデフォルトに陥るリスクが「非常に低い」ことを意味しており、「トリプルA」格付けに見合うとの見解を示した。
PIMCOのビル・グロース共同最高投資責任者(CIO)は、政府が歳出削減、歳入増、雇用増に焦点を合わせたプログラムなど予算に対してより均衡のとれたアプローチをとるまで、近い将来に格下げはあると指摘。今回の合意は、ドルの下落を決定づけたとの見方を示した。