for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

分配金累計額1万円超の「分配型」ファンド登場

 [東京 17日 ロイター] 「分配型ファンド」が登場して約15年──。公募投信全体の6割を占める(7月末時点)にまで市民権を得た「分配型ファンド」で、設定以来、これまでに払い出した分配金の累計額(既払い分配金累計額)が1万円を超えるファンドが登場したことが、ロイターの調査で分かった。

 ロシア危機やリーマンショック、7月下旬からの円高局面を経ながらも、分配金累計額上位ファンドの設定来の騰落率は大勢が2けたのプラスとなった。

 投資信託は本来、長期投資で資産形成を図るための商品。このため、課税を繰り延べ、複利で運用する投信のメリットが享受できない「分配型」は、一時は愚の骨頂とまで言われた。しかし「失われた20年」において、投資家ニーズを満たし、設定来の騰落率(分配金再投資ベース)でも良好な成績の「分配型」が出てきたことで、「分配型ファンド」は単に定期的に分配金を払い出すだけの商品から、「戦略的な中長期の運用商品として位置付けられる」(国内投信)と一層、存在感を増しつつある。 

  <分配型を、分配金累計額でランキング> 

 今回のスクリーニングは、まず公募投信全体から7月末時点で決算回数が年4回以上の「分配型」(除く上場投信)を抽出し、そのうえで、既払い分配金累計額でランキングした。それによると「分配型」として初めて投資元本の1万円を上回る分配金を払い出したファンドが出てきたほか、分配金累計額が9000円台も6本を数えるまでになっていることがわかった。

 分配金累計額が1万円を超えたのは、1996年設定の野村アセットマネジメントの「野村新興国債券投信Bコース(毎月分配型)」62000145JP。同ファンドは設定時には年2回決算(3月、9月)だったが、10年2月に決算回数を年12回に変更。同3月以降、毎月分配になっている。足元の分配金は100円。2位はニッセイアセットマネジメントが04年に設定した「ニッセイAEW米国リートオープンBコース」62004667JP。3位も04年設定のDIAMアセットマネジメントの「DIAMワールド・リート・インカム(毎月決算コース) 」62004576JPだった。 

 分配金累計額上位10本の設定年次をみると、最も古いものが96年、97年が1本あり、90年代は計2本。2000年代に入り、03年1本、04年5本、06年が1本だった。資産クラスは、REITが最も多く6本、次いで債券が3本、株式は1本だった。

 分配金累計額でランキングしたデータだが、上位10本の設定来騰落率(分配金再投資ベース)は、マイナスはわずか1本で、マイナス幅も2%以内。残り9本中8本はプラスで、7本は2けたプラス、最も高いものは100%超えの107%だった。 

  <騰落率の高さに意外感> 

 今回のデータ・スクリーニングでは、分配金累計額にフォーカスしたが、結果、騰落率が意外にも高いという結果を得た。運用期間が長ければ設定来の騰落率が高くなる傾向があるが、それを割り引いても、「意外に実績が高いのには驚いた。(分配型の)役目は果たしているのではないか」(国内投信)という。

 長期投資といえば株式、あるいは株式投信といわれたが、「失われた20年」で運用成果は思わしくない。そうした投資環境での今回の結果について、上位にランクインした運用会社からは「良好なトラックレコードができたことで、戦略的な長期投資商品になりうる」と積極的な声もあった。資産運用では投資のタイミングも難しいが、むしろ解約のタイミングの方が難しいとさえ言われる。高齢層の年金補完目的やリタイア準備世代などの小遣い稼ぎ的投資で「分配型」の利用が多いとするなら、「無理な分配を継続さえしなければ、「分配型」による自動払い出しは理にかなっている」(国内投信)との指摘もあった。 

 一方、騰落率は悪くはないが、残高が小さいファンドも見受けられる。そのひとつ、ニッセイアセットはロイターに対し「過去からの運用実績を活かせる何らかの方策を社内で検討中」とコメント。残高が小さいことで投資家に不安を与えるのでは、との見方に対し、他社からは「分配金引上げが無理でも、たとえば国内債券投信よりも収益性は高い。キャピタル狙いの投資家を呼び込むなり、資金流入を促すことが早急に必要なのではないか」との意見が聞かれた。 

 今回のランキング結果を受け、投信会社関係者の中には、過去に無理な分配をしてきたことで分配が引き上げられないファンドもあれば、現在も「吐き出し方式」の運用収益とはかけ離れた分配を継続するファンドがある、としたうえで、「分配型ファンド」の分配方針が、本来の分配金の在り方に立ち返り、分配金競争から早急に離脱することで運用資産も大きく損なわず、中長期的には運用面でもリカバーできるのではないか、との声も聞かれた。

 (ロイターニュース 岩崎 成子;編集 宮崎亜巳)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up