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大王製紙が前会長を告訴・告発へ、貸付残高は59.3億円

 [東京 28日 ロイター] 大王製紙3880.Tは28日、井川意高前会長が複数の子会社から巨額融資を受けていた問題で、弁護士と相談のうえ、前会長に対し告訴・告発の手続きを行うと発表した。

 前会長への貸し付けは、連結子会社7社から計106億8000万円にのぼった。現時点での残高は、59億3000万円となっている。 

 <資金使途は明らかにならず> 

 事実関係の把握や再発防止策の検討を進めるために9月下旬に設置された「特別調査委員会」から、27日に報告書が提出された。特別調査委は、弁護士3名と社外監査役、同社の常務の計5名で構成されている。 

 報告書では、貸し付けが前会長の個人的用途に充てるためになされたことは本人が認めており、疑いがないところとした。ただ、具体的な使途について、特別調査委員会の奥平哲彦委員長は会見で「遺憾ながら、現在まで、資金使途を明らかにするには至っていない」と述べた。前会長は、調査委員会のヒアリングで、FX取引や株式投資にかなり使ったと説明したものの、具体的な説明や裏付けとなる資料の提出はなかったという。また、その後、予定されたヒアリングには出席していない。

 佐光正義社長は「連結子会社からの貸付金の使途の解明は不可欠。引き続き使途の解明に向けての努力を継続する」としながらも「強制力のない調査には限界があり、当局による捜査に委ねることの必要性も感じている。今日の取締役会で告訴・告発すべきとなった」とし、前会長の告訴・告発の手続きを行うべく、弁護士と相談をするとした。 

 <貸し付けは26回で計106.8億円> 

 報告書によると、前会長への貸し付けは、2010年5月以降11年9月までに計26回行われた。大王製紙からの貸し付けはなかった。このほか、ファミリー企業であるエリエール商工から、10年5月以前にも計5億3000万円の貸し付けが行われており、未返済だという。

 いずれの貸し付けも、前会長が7社の常勤役員に電話をし、指定する金額を本人名義、あるいは「LVSインターナショナルジャパン」名義の銀行口座へ振り込ませたほか、迂回のためにエリエール商工に送金させていた。 

 合計106億8000万円のうち、現金で18億0700万円、貸主である連結子会社が前会長から別の連結子会社やファミリー企業株を購入し、その代金を充てる方法で29億4300万円の計47億5000万円が弁済されている。

 連結子会社が前会長から購入した株式の購入額の相当性を検討するため、結果次第では、貸付残高が変動する可能性もあるとという。このほか、貸付発覚後に前会長からグループ企業12銘柄の株式、顧問から30銘柄の株式(時価純資産価額方式による評価として計80億円と前会長は主張)を預かっているという。ただ、奥平委員長は貸付を行った連結子会社がファミリー企業株を持つ必要性が少ないこと、未上場株式で換金が困難なことなどから「預かり株式の譲渡で返済を受けるのは避けるべきであり、原則として現金で返済を求めるべき」とした。佐光社長も原則は現金での返済としたうえで、仮に預かっている株式で弁済を受ける場合には、第三者による査定が必要との認識を示した。 

 <事件発覚の発端となるメール受領後、開示せずに社債を発行> 

 今回の事件発覚の発端となったのは、連結子会社の赤平製紙から「9月2日に会長の個人口座に3億円を振り込んだ」とのメールが関連事業部宛てに9月7日に届いたことだった。しかし、同社は、その内容を開示することなく、9月9日に100億円の社債を発行している。佐光社長は「大事な問題」としながらも「詳細な資料がないため、調べて報告する」と述べるにとどめた。 

 同社では、前会長に対する貸付金が回収できない場合に備え、今中間期で貸倒引当金積み立ての要否を検討する。過去の有価証券報告書なども内容の訂正が必要かどうか検討する。こうした作業に時間が必要となるため、11月4日に予定していた決算発表を14日に延期する。 

 また、調査結果を踏まえ、社内処分も決めた。

 前会長の弟の井川高博取締役については、今回の不正貸し付けを早期に把握しながら、取締役会などへの報告を行わずに貸し付けの増大を招いた責任を明確にするために、取締役会で取締役辞任の勧告が決議された。ただ、決議に応じなかったため、特命担当兼関連事業担当を解任した。井川高博氏からは、減俸の申し出があり、社長に一任された。佐光社長は「辞任すべきとの考えに変わりはない」とした。また、経理・財務担当の魚田敏夫常務は27日付で取締役を辞任した。父である井川高雄氏については、28日付で顧問の職を解任した。

 このほか、佐光正義社長が減俸50%・3カ月など役員報酬の減額や自主返上を10月から行う。 

 佐光社長は「井川家が悪いとは思っていない。決別するつもりは全くない」と述べ、今後も必要があれば助言を受けることもあるとした。

 再発防止策として、社長を委員長とする「企業統治改革委員会」を立ち上げ、ガバナンスの改革やコンプライアンス体制の見直しなどを行う。  

 (ロイターニュース 清水 律子)

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