for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

日銀は欧州危機の波及で金融ルート警戒、外貨含め資金繰り注視

 11月24日、欧州の債務・金融問題が想定を超えるスピードで広がる中、日銀は金融面を通じた日本経済への影響に警戒感を強めている。写真は日銀本店で撮影(2011年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 [東京 24日 ロイター] 欧州の債務・金融問題が域内で最大の経済規模を持つドイツに波及し始めるなど、想定を超えるスピードで広がる中、日銀は金融面を通じた日本経済への影響に警戒感を強めている。

 現時点で日本の金融機関の外貨を含めた資金繰りに目立った影響は出ておらず、金融機関の健全性は維持されているが、さらなる金融資本市場の不安定化などで金融機関の資金調達などに異変が生じる場合には、徹底的な流動性供給を軸に金融システムへの影響遮断を図る方針だ。

 日銀では、欧州の債務・金融問題が日本経済に及ぼす影響について、1)新興国経済の減速を通じた貿易チャネル、2)金融市場の不安定化に伴う金融チャネル、3)投資家のリスク回避姿勢の強まりによる為替チャネル──の3つのルートを想定している。欧州問題が一段と深刻化する中で、24日午前に開かれた「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」に出席した白川方明総裁は、同問題などに関連して金融機関の資金繰り状況の把握に努めていると述べ、金融ルートに警戒感をにじませた。現状では、欧米市場の不安定化にもかかわらず、外貨調達を含めて日本の金融機関の資金繰りは安定しているが、17日の会見で総裁は「将来、もっと大きな金融市場の混乱が生じると、もちろん日本の金融機関も無縁ではない」と述べている。 

 金融面を通じたルートでは、投資家のリスク回避姿勢の強まりに伴う株価の下落も気がかりだ。24日の東京市場では日経平均株価が2年7カ月ぶりの安値をつけるなど、世界的に株安が進行しており、今後の企業マインド悪化などが懸念される。株安は、金融機関の財務を悪化させ、貸し出し姿勢を慎重化させる可能性もある。日銀が10月に公表した金融システムリポートでは、銀行の株式リスクについて「依然として大きい。引き続き、銀行経営の健全性を阻害する大きな要因」と位置づけている。メガバンクの保有株式含み損益がゼロになる水準は、2011年9月末時点で三菱UFJFGがTOPIX760ポイント前後、みずほFGが日経平均株価9000円台前半、三井住友銀行が同8000円台前半としており、足元ではすでに含み損が発生しているとみられる。 

 また、大幅な札割れを受けて独国債利回りが上昇する中で、24日の円債市場では、国債先物相場が独国債先物の下落につれて一段安となるなど、これまでリスク回避で買い進まれてきた日本国債の取引に変調がみられた。金融システムリポートの中で日銀は、内外の金融資本市場の連関が高まる中、「国債市場でも先進国間の国債利回りが連動する局面がみられる。海外市場の変調が日本へ伝播するリスクがある」と警鐘を鳴らしており、今後の米独国債市場の行方からも目が離せない。国内銀行は資金需要の低迷などを背景に債券投資を拡大しており、地域銀行を中心に金利リスク量は拡大傾向にある。日銀の試算によると、金利が1%上昇した場合、2011年6月末で大手行、地域銀行ともに保有債券に2兆円超の評価損が発生する。 

 日銀では、日本の金融システムの現状について「頑健性が維持されている」(22日の山口広秀副総裁講演)としており、日銀による積極的な金融緩和政策の下で、銀行間取引やクレジット市場も含めて金融環境は安定した状態を保っている。もっとも、欧州の債務・金融問題は着実に拡大しつつあり、金融面でもさまざまなルートを通じて日本の金融システムを蝕む可能性は否定できない。白川総裁は24日の月例経済報告に関する会議で、ショックが発生した場合の対応策を講じておくことの重要性を強調したという。市場の一段の混乱が日本の金融システムに影響を与える懸念が強まる場合には、さらなる流動性の供給などで市場安定に努める方針だ。 

 (ロイターニュース 伊藤純夫;編集 石田仁志)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up