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インタビュー: 原価改善で年3000億円以上のコスト削減見込む=トヨタ

 久保信博記者 金昌蘭記者

 12月12日、トヨタ自動車の渡辺社長は、05年に開始した新たな原価改善活動について、年3000億円以上のコスト削減効果を見込んでいることを明らかにした。11日撮影(2007年/Toru Hanai)

 [豊田市(愛知県) 12日 ロイター] トヨタ自動車7203.Tの渡辺捷昭社長はロイターのインタビューに応じ、2005年に開始した新たな原価改善活動について、年3000億円以上のコスト削減効果を見込んでいることを明らかにした。

 効果は来年投入する車から発揮され、2010年ごろに最大の成果が表れるという。

 原価改善はトヨタの競争力の源泉の1つ。渡辺社長が現職に就いた2005年から「VI(バリューイノベーション)」と呼ばれる新しい原価改善活動を開始した。設計の段階から従来の開発手法を見直し、部品点数を削減するなどしてコスト削減を図ろうとしている。2000年から取り組んだ前回のプロジェクト「CCC21」では、5年間で約1兆円のコスト削減効果を上げたとされる。

 インタビューの概要は以下のとおり。

──「VI」プロジェクトは当初の予想通りに進んでいるか。

 「ほぼ、うまく行っている。来年出てくる新しい車から導入され、かなりの効果が出てくる。コンピュータを統合したり、エアコンのシステムの設計を工夫してコンパクトにするなど、いろんな角度から進めている」

──「CCC21」は年間3000億円ぐらいの削減効果があったと言われているが、「VI」はどうか。

 「そのレベルは行かないと意味がないし、それ以上のペースを期待している。2010年ぐらいからフルに効果が出てくる。そのころには次の改善プログラムの概念も考えていると思う。次は(部品やユニット単位のコスト低減ではなく)車そのもの(を見直す)かもしれない」

──今から10年先、たとえば2015年の自動車市場をどう見通しているか。

 「今の自動車の総市場は9億台くらいで、近い将来10億台に届く可能性がある。中国やインドでも市場が拡大しており、そういう意味で自動車産業は発展途上にある。一方で環境やエネルギー、安全などが解決すべき重要なテーマになる。そうした問題を解決できないと成長はない」

──トヨタは2009年の年間販売台数を、06年実績の881万台から1040万台に引き上げる目標を掲げている。どのくらいの生産能力の増強が必要か。

 「すでにほぼ(目標に)近い。人の投入の仕方や設備の改善、時間の使い方で能力は変わってくる。900万台の生産能力でも、生産性を上げれば1000万台生産できる」

──急成長が続く中で、リコールの増加など品質への対応が課題だ。

 「開発設計と生産、調達、販売、それぞれの分野で分科会を設置して手を打ってきた。2年前から開発した新車の初期品質は格段によくなっている。ただ、それ以前に作った車については、車両の長寿命化や機能の複雑化などで問題が起こる可能性がある。そうした問題を早期発見、早期解決するためにリコールの台数は多くなっているが、それも確実に減っている」

 「生産ラインも、今まで経験など暗黙知で行っていたものの機械化をさらに進めている。ラインの中でCCDカメラやセンサーを使い、傷がついていなかどうかなど細かいところまで計測できるようになってきた」

──北米で重要な幹部が退社するなど人材面も課題だ。

 「世界中で人が育つかどうかは、最大の関心事。幹部が辞めたのはたいへん残念だが、人材育成のプログラムに取り組むと同時に、今年初めから日本ではチームリーダー制を導入した。少人数のチームの中でリーダーが手取り足取り面倒をみる。もともとトヨタのDNAにはそういう面があったが、急拡大の中で手薄になったきらいがある。これを日本できちんとやりながら、世界へ展開していく」

──現在9%超の営業利益率を10%に引き上げる目標を掲げている。どう達成するのか。

 「品質が向上すればコストも安くなる。100個のうち90個良品だったものが、100個のうち99個良品になれば、コストは絶対に安くなる。品質を良くする知恵はいっぱいある。問題発見能力や改善能力に磨きをかける。そこも人材がカギになる」

 「営業利益率10%というのは、1兆5000億円の設備投資と、1兆円の研究開発投資をするのに必要。走れば走るほど空気がきれいになる車や、乗ると健康になる車、満タンにしたら地球1周できる車を作るという夢は、まだ実現していない。そのためには研究開発に惜しみなく投資していく」

 *このインタビューは12月11日に行いました。

(ロイター日本語ニュース 久保 信博記者 金昌蘭記者)

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