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「計画的な消費」に目覚める米国人、経済への悪影響も

 [アトランタ 18日 ロイター] 何年にもわたる羽振りの良い生活から一転、米国の家庭はついに、身の丈に合った生活を送ることを学び始めている。これまで金融の専門家らは、米国の家庭にこうした「計画的な消費」は訪れないと指摘していた。

 3月18日、米国の家庭に「計画的な消費」の傾向が見え始めており、専門家らは経済への悪影響も指摘。写真は昨年11月、ニューヨークで撮影した買い物客(2008年 ロイター/Brendan McDermid)

 エコノミストらは長年にわたり、米国の消費者が持続不可能な浪費を行っており、貯蓄率が危険なまでに低いと警告してきた。米国の家庭は今、住宅市場の低迷と景気減速を背景に経済的な責任を負うことを余儀なくされている。

 メリルリンチMER.Nの北米担当エコノミストのデビッド・ローゼンバーグ氏は、ウォール街の関係者はこれまで、米国の消費者が消費スタイルを変えることはないと考えてきたと指摘。その上で「(消費スタイルの変化が)起こりつつある。倹約が取り入れられ、浪費は過去のものとなった」と述べた。

 ローゼンバーグ氏によると、個人消費は米国経済の約7割を占めており、そのうちの30%は生活必需品ではない買い物だという。

 <予算に合わせた買い物>

 テレサ・パークスさん(36)の状況はその代表例と言える。アトランタで道路にラインを引く仕事をしているパークスさんは、娘3人と暮らすために2006年に郊外のリバーデールに家を購入。その後、毎月669ドル(約6万6000円)のローン返済が滞るようになってしまった。昨年9月には金融機関との間で、ことし6月まで追加で毎月188ドルを支払う返済プランで合意した。

 「レストランでの外食を減らして買い物を止めた。買い物が大好きな10代の娘たちにとっては一番つらいことだけど、彼女たちと話し合い、自分たちの家に住み続けるには何でもしようということで意見が一致した」とパークスさんは言う。

 パークスさんが家計を練り直す作業を手伝った支援組織のレジーナ・グラント氏は、相談者の大部分が支出をコントロールするための支援を必要としていると指摘。「彼らは予算を立てるという行為をしたことがないが、家を維持するためには必要なこと」と述べた。

 また、非営利団体アコーン・ハウジングのディレクターを務めるオゼル・ブルックリン氏は、部屋に集まった15人ほどの住宅ローン債務者に対し、もし銀行に金利を下げてもらったり負債の一部を免除して欲しいと思うなら、支出に優先順位を付けなくてはならないと助言。

 「最優先にするのは住宅ローンの支払い、そして食べ物、光熱費、もし仕事で必要ならば車。(ローンの)貸し手はぜいたく品購入の余裕があると思えば交渉に応じようとしないのだから、削れるところはすべて削ることになる」と述べた。

 オハイオ州クリーブランドにある非営利団体のマーク・サイフェルト氏は、ローン返済に苦しむ人へのカウンセリングとは、過酷な事実を伝えることを意味するとしている。「住宅保有者が困った揚げ句にわれわれに助けを求めてくるが、彼らは年収5万ドルなのにエスカレード(キャデラックの高級SUV、価格約5万5000ドル)を所有していたりする。『いったい何を考えていたのか』と聞かざるを得ない」とサイフェルト氏は語る。

 米住宅市場の危機が深まる中、より多くの人が差し押さえ回避のために予算に合わせた支出をすることになり、リセッション(景気後退)入りの手前でぐらつく米経済にも深刻な影響を与えることになる。メリーランド大学のピーター・モリシ教授は「(予算に合わせた支出というスタイルが増えることで)個人消費は減退していき、米経済にとって不吉な前兆となる」と述べた。

 <基本に立ち返る>

 今回の住宅ブームで特徴的だったのは、手元の資金がわずか、またはゼロでも住宅の購入に手を出せたことにある。しかし、そんな時代はもう過ぎてしまった。

 ジョージア州不動産業協会のバン・ジョンソン会長は「われわれが多く目にしているのは、十分な収入があるにもかかわらず貯金をしてこなかった人たちが、今は住宅ローンの頭金のために貯金をしなければならないという状況だ」と指摘。これらの人が支出を抑えるようになると、レストランや小売業界にとって打撃となり、経済が一段と減速するとの見方を示した。

 また、ワシントンを拠点とする非営利団体のテリー・キービ氏は、不動産ブームは永遠に続くものではなく、住宅の購入はより難しくなるとした上で、「市場には自浄作用がある。現状もそのプロセスの一部といえる」と述べた。

 米国の消費者がより安価な製品を選択する兆候はすでに現れており、2月の米小売各社の既存店売上高では、消費者が高級店よりもウォルマートWMT.Nなどのディスカウント店を好む傾向が示された。

 メリルリンチのローゼンバーグ氏は、2007年第4・四半期の米国世帯の負債額が税引き後収入の約140%に達しており、同収入の14.3%を負債の返済に充てていたと説明。「簡単に言えば、米国人は食費よりも多くの金を負債の返済に使っていた」と述べた。

 ローゼンバーグ氏は、今後の見通しは不透明であり、経済への悪影響がどの程度になるか予測するのは難しいとした上で、貯金をする米国人が増えることにより、個人消費の伸び率が向こう数年間は1パーセントポイント押し下げられるとの見方を示した

(ロイター日本語ニュース 原文:Nick Carey、翻訳:平林純子)

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