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千代建の第三者割当増資と下方修正、先行きに不透明感残す

 水野 文也記者

 [東京 1日 ロイター] 千代田化工建設6366.Tが31日発表した三菱商事8058.Tに対する第三者割当増資と業績予想の下方修正について市場は厳しい評価を下した。三菱商事との提携はポジティブな材料になるとの見方があるものの、下方修正と同時に第三者割当増資を発表したことから、2009年3月期の業績見通しも悪化するとの連想が働くなど先行きに対し不透明感が残っている。

 千代田化工建設は、朝方から大量の売りを浴びて気配値を切り下げる展開となり、ストップ安比例配分で大引け、差し引きで928万8000株の売りを残した。市場では「三菱商事との関係強化はポジティブに評価。急な業容拡大リスクは大きいが、総合商社との連携は大きな支援になる」(三菱UFJ証券・アナリストの磯崎輝雄氏)との声があったものの、第三者割当増資による1株当たりの希薄化が嫌気されている。

 第三者割当増資は、1株あたり907円で6708万株を発行し約605億円を調達するという内容。それによって三菱商事による千代田化工株の保有比率は議決権ベースで10.43%から33.77%に上昇し、千代田化工は三菱商事の持分法適用会社になる。第三者割当増資は千代田化工側から打診したという。

 さらに、2008年3月通期の連結営業利益見通しについて、従来の220億円から70億円に下方修正したことも売りを誘う要因となった。

 千代田化工では、カタールでプラント工事の労働者が不足し、人件費が上昇したことなどを下方修正の要因として挙げている。プラント業界では、上位メーカーの工事量がキャパシティ上限に達していることに伴い、プラント建設が活発化している中近東地域の工事現場における作業員不足が深刻化している。とりわけ中近東での工事では、熟練ワーカーを中心に人手不足が顕在化し、資材価格とともに人件費も次第にコストアップの要因になりつつある。市場関係者によると「少し前に、IHI7013.Tの業容悪化が注目されたが、今回の千代田化工の下方修正であらためてプラント業界の環境が楽観視できないことが確認された」(準大手証券情報担当者)という。

 同社に関しても、これまでカタールのLNGプラント工事について、追加コストの発生リスクが指摘されていた。ゴールドマン・サックス証券が悪材料が出尽くしたとして「売り」から「中立」にレーティングを変更したものの、アナリストの間で投資判断を引き上げたのは少数派となっている。日興シティは「2H」から「3H」に、UBSが「Buy」から「Neutral」に引き下げたほか、多くの証券会社がレーティングを据え置いた。

 とりわけ、市場が不透明な印象を強めた大きな理由は、今回の第三者割当増資が下方修正とセットで発表されたことにある。レーティングを引き上げたゴールドマン・サックス証券・アナリストの境田邦夫氏は「追加コストの発生リスクは依然として残るが、三菱商事への株式発行で資金的な手当ては終了した」とレポートの中で指摘したが、調達した資金が今期以降に発生する損失に備えるためとみる関係者が少なくない。

 あるアナリストは、このタイミングについて「資金調達規模などから考えると、2009年3月期以降の収益に関して、会社側は強い不安を感じているのではないか」と指摘。千代田化工の久保田社長は、業績下方修正と三菱商事による増資引き受けとの関連性は「全くない」としているものの、会見で「プラント事業が足元でカタールのガスプロジェクトに偏重しており、同プロジェクトに続く新たな成長分野・地域へ事業を拡大し、資本を充実する必要があると判断した」と述べたことなどから、市場では増資と業績不安との関連性に対する疑念が残っている。

 クレディ・スイス証券・アナリストの西村光彦氏は「カタールでのコスト増に伴うコスト転嫁について交渉を進めており、これに成功すれば08年度に増益になると会社側がコメントしているため、希薄化を織り込んだ後に株価反発の可能性もある」としながらも「他の工事損益に悪化の可能性がある上、引き続き同社が得意となるLNGプラントの商談は低迷。さらに、使途が不明瞭なまま、既存株主の価値を大きく毀損した事実は、今後も株式市場でネガティブに評価される可能性もある」と指摘していた。

 他方、千代田化工では、業績悪化の背景にある人員不足と資材の高騰は、リスク管理を遥かにしのぐ規模で発生したカタール特有の事象としていた。そうした点から大和総研・アナリストの田井宏介氏は「大型プロジェクトを同一地域で行っている千代田化工は、相対的にリスクが高い。地域分散が進んでいる日揮1963.Tが、千代田化工と同様の評価がここで下されるのならば、買いの好機になる」と指摘する。日揮は、前日比4円高の1526円で大引けた。

 (ロイター日本語ニュース 編集 橋本浩)

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