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公的年金の07年度運用損で閣僚発言相次ぐ

 [東京 4日 ロイター] 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が発表した2007年度の運用損失が5.8兆円(運用利回りはマイナス6.41%)となったことに関連し、同日の閣議後の記者会見で閣僚からの発言が相次いだ。

 舛添要一厚生労働相は「6%超のマイナスは国際比較したときに低いことは確か。改善努力は当然考えてしかるべき」と述べたほか、渡辺喜美金融担当相は「納得のいく運用のあり方を大いに検討していくべきだ」と語り、公的年金の運用改革に前向きな姿勢を示した。

 舛添厚労相は閣議後の会見で、GPIFの07年度の運用成績について「サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)で各国とも赤字が出ている。外国の有価証券の比率の高いノルウェーの年金基金では10%くらいの赤字が出ている」としたが、「ハイリスク・ハイリターンのノルウェーが10%の赤字幅で、日本はローリスク・ローリターンの堅実な安全運用をやっても6%超のマイナスがある。国際比較でほめられる状況ではない」と指摘した。

 そのうえで、マイナス6.41%の運用損失は「スウェーデンとかカナダとか、カリフォリニアのカルパースに比べても数字がよくない」としたうえで「国際比較をしたときに(日本の)運用実績が相対的に低いことは確かで、改善努力をすることは当然考えてしかるべき」と強調した。

 自民党のSWF(政府系ファンド)検討プロジェクトチームが3日、公的年金のSWFの設立を提言し、GPIFの資産から10兆円を切り離して原資とする構想を発表した。これについて舛添厚労相は「150兆円のうちの15分の1なので、リスクをそこに若干かけても残りの140兆円でカバーすればいい」との見方を示したうえで「検討と課題とすることはあってもいい」と前向きな姿勢を示した。

 さらに、GPIFの組織に触れて「150兆円という巨額のお金を一つの組織が運用しているなど常識では考えられない」としたうえで「国際的な常識から見て、正常でないことには、党だけではなく政府も問題意識を持つ必要がある」と指摘。またGPIFは「現場の経済学、金融、金融工学の知識があり、現場感覚があるような人がやる方向に改善していくことが議論されていい。最初からタブーがあってはいけないので試行錯誤を繰り返しながら、年金をどう増やしていくかを考えるべき時期に来ている」とも強調した。

 渡辺金融担当相は4日の閣議後の記者会見で、公的年金の運用改革について「年金の財産は国民の財産そのもの。納得のいく運用のあり方を大いに検討していくべき」と述べた。そのうえで、同相の私的懇談会の金融市場戦略チームで、公的年金の運用改革について議論したことに触れて「より有利な運用、より効率的な運用をめざすべきとの意見が多かった。SWFのような機関を創設するとの意見もあったし、GPIFそのものをなくしてしまって、国民が直接、運用先を選べるようにしてはとの意見もあった」と語った。

 町村信孝官房長官は閣議後の記者会見で、GPIFの07年度の運用損失について「(リスクの高い)極端な商品はあまりやっていないはずで、直ちに責任問題うんぬんということにはつながらない」と述べた。

 日本の公的年金の資産は、厚生年金と国民年金で約150兆円。GPIFの運用対象はポートフォリオの67%が国内債券となっており、企業年金に比べて株式の比率が圧倒的に低い。運用が効率的でないとの見方が広がってきたことから、自民党の検討チームのほか、経済財政諮問会議の民間議員、渡辺金融担当相の私的懇談会が、公的年金の運用改革について相次ぎ提言を出している。

 (ロイター日本語ニュース 村井 令二記者)

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