[東京 5日 ロイター] 杉本和行財務次官は5日の定例会見で、与党の一部で浮上している相続税免除特典のついた無利子国債発行案について、財政にとってプラスの要素はないとしたほか、国債発行・消化の観点からも必要な状況にないと述べ、慎重に検討すべきだと否定的な見方を示した。
また、外貨準備の運用について、現在の形で運用していくことになると述べ、見直しの必要性を否定した。
無利子国債発行について杉本次官は「諸外国に例がなく、効果について一概に言えない」としたうえで、「利払いは減るが、相続税の収入が減るため、財政上プラスになる要素はない」と述べた。さらに、国債の発行・消化の円滑化の観点からも、「現状は、国債金利1.3%程度で済み、特に国債発行・消化に困難なく、円滑に消化している。そのような国債を発行することも必要な状況ではない」と述べ、「無利子国債の発行は慎重に検討すべき」と述べた。
5日の衆院予算委員会では、外貨準備の運用について、円高進行で2008年末で約26.5兆円の評価損が発生し運用面の問題が提起された。この点について杉本次官は「現在の状況を考えながら、運用の中身は対応していく」と述べるにとどめ、見直しの必要性についての重ねての質問に対して「現在の形で運用していくことになる」と述べた。
(ロイター日本語ニュース 吉川 裕子記者)