[ワシントン 9日 ロイター] サマーズ米国家経済会議(NEC)委員長は9日、当地で講演し、回復への道はある程度時間がかかる可能性があるものの、米経済が「急降下」しているという感覚は年央に収まる見通しだと述べた。
同委員長は「米経済は昨秋の中ごろ以降、ボールがテーブルから落下するような感覚だが、今後数カ月以内に落ち着き、この急降下の感覚はなくなると、ある程度の確信を持って言えるだろう」と語った。
ただ、回復は経済の「強い下降気流」により遅くなる見通しだとし、「経済は、月に60万人が失業している状況から一夜にして非常に喜ばしい状況には変わらない。クレジット市場は依然として強い緊張状態にある」と指摘した。
また、政策当局者はインフレとデフレの両方のリスクについて警戒する必要があるとし、短期的なデフレリスクが、オバマ政権による大規模な財政刺激策とクレジット市場支援プログラムの主な理由のひとつだと指摘。「短期的なデフレ懸念は完全に無視することはできないだろう」と語った。
サマーズ委員長はまた、米国が今後国債を売却する能力について聞かれ、米国はドルが安全な通貨であるとみなされている事実から恩恵を受けており、このステータスを守るべきだと答えた。
「市場が先行き不透明感や世界経済をめぐる疑念の高まりを示しているときには通常、米財務省証券の価格は上昇する」と指摘。「従って、あらゆる点で力の源とされる通貨と債券市場を持つ国としてわれわれがどれほど幸運か覚えておくことが重要だ。この状態を維持する大きな責任がわれわれにはある」との認識を示した。