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情報BOX:米ストレステストの資本目標・条件

 [6日 ロイター] 米政府は6日、大手金融機関19行を対象とするストレステスト(健全性審査)について、資本増強の目標と条件を明らかにした。

 ストレステストの結果は米東部時間7日午後5時(日本時間8日午前6時)に発表する。

 政府によるストレステストの概要説明と資本増強の目標は以下の通り。 

 <資本目標> 

 ストレステストの対象金融機関は、政府が設定した最悪シナリオのもとで、2010年末時点の自己資本比率をTier1(中核的自己資本)リスク・ベースで最低6%、Tier1普通株式リスク・ベースで最低4%とする資本バッファーを実現するよう指示されている。

 銀行は通常、自己資本比率がTier1リスク・ベースで最低4%あれば「適切な資本」があると考えられ、Tier1の内訳については、普通株を中心とすることのみが求められている。

 ただ今回の資本目標では、「十分な資本」という高い基準が求められるだけでなく、普通株式の比率を高めることも求められる。

 Tier1普通株式の重視は、損失の吸収と返済の順位の高い株式の保有者や債権者を保護するうえでは、普通株式がきわめて重要との認識に基づくものである。 

 <期間> 

 資本バッファーの積み増しが必要になった金融機関は6月8日までに詳細な資本調達計画をまとめ、11月9日までに計画を実行する必要がある。  

 <経営陣> 

 資本バッファーの積み増しが必要な金融機関は「現在の経済環境でリスクを管理する専門知識・能力がある」経営体制を整えるため、経営陣・取締役会メンバーを見直す必要がある。

 金融機関は、十分な財務基盤を確保し「国内経済の資金ニーズを満たす慎重な貸し出し」を継続できる経営体制にあることを証明しなければならない。 

 <資本回復計画>

 資本増強を義務付けられた金融機関は、連邦預金保険公社(FDIC)と協議のうえ、詳細な資本計画を作成し、主たる監督者の承認を得る必要がある。

 金融機関は、可能な場合、民間からの積極的な資本調達を目指す計画を立てることが奨励される。 

 計画には、資本性証券の発行・再編、事業、資産もしくは少数持分の売却、配当・自社株買戻しの制限などを盛り込む必要がある。

 金融機関は公的資金の返済計画の概要と、FDIC保証債への依存脱却に向けた計画の概要を示す必要がある。 

 <公的支援> 

 民間からの資本調達が望ましいが、財務省は7500億ドルの金融救済基金の下で「資本支援計画(CAP)」を通じ、「民間資本のつなぎ」としての支援を実施する用意がある。

 金融機関は、CAPの下で、リスク加重資産の最大2%、もしくは要請に応じそれ以上に相当する強制転換優先証券の発行を申請できる。

 政府保有株式を強制転換優先証券に転換することを希望する金融機関には、民間資本の普通株への転換、もしくは新たな民間資本の調達が義務付けられる。 

 <公的資金返済> 

 ストレステストの対象19行のうち、公的資金の返済を希望する金融機関は、事業全体が健全であること、資本水準が適切であること、貸し出し能力があることを証明する必要がある。

 また、公的資金の返済後も、ストレステストで必要と判断された大幅な資本バッファーを維持する必要がある。

 さらに政府の保証なしに必要資金を調達できることを証明するため、FDICの保証なしでシニア無担保債を発行できなければならない。  

 <その他>

 政府は、ストレステストの対象を大手19行以外に拡大する計画はないとしている。

 政府は、金融機関の資本増強について、景気が急激に悪化しても大手金融機関が融資を続けるという自信を市場参加者や金融機関に持たせるため「一時的なバッファー」として機能する、と説明している。

 金融機関が資本バッファーを大幅に積み増した後は、通常の監督プロセスで金融機関の資本必要額を判断する。

 政府は、金融危機の最中でも金融機関が貸し出しを続けられるよう「銀行システムをしっかり支援する」方針をあらためて示した。

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