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焦点:米FRBが銀行の債務で新基準策定へ、損失吸収力を倍増

[ワシントン 17日 ロイター] - 米金融規制当局は現在、銀行の期間1年以上の債務比率に基準を設ける作業を進めており、一部の銀行は現状では基準に達しない見通しだ。

 6月17日、米金融規制当局は現在、銀行の期間1年以上の債務比率に基準を設ける作業を進めており、一部の銀行は現状では基準に達しない見通しだ。写真はFRB。昨年7月撮影(2014年 ロイター/Jonathan Ernst)

この基準は、金融危機の際に公的資金によって銀行を救済せざるを得なくなる事態を回避するのが狙い。米銀は既に「バーゼルIII」の勧告に沿って約10%の自己資本(エイクイティ)比率を義務付けられているが、今後導入される規則では、期間1年以上の債券あるいはその他のデット(債務)でも、バランスシートの最低10%程度の額を調達するよう求められる見通しだ。

これは銀行が経営難に陥った際、株主だけでなく債権者にも損失を負担させようとする流れの中に位置付けられる。投資家が一定の損失覚悟で購入する長期債についても自己資本と同様の比率を課すことで、エクイティとデット合わせた銀行の「損失吸収力」を合計でバランスシートの約20%まで高めることを狙う。

ロイターが当局への申請書類とシティグループが最近公表した算定方法に基づいて米銀8行を分析した結果、ウェルズ・ファーゴWFC.Nの損失吸収力は昨年末時点で17%、ステート・ストリートSTT.Nは18.2%、JPモルガン・チェースJPM.Nは19.1%となり、20%に届かなかった。

スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のクレジットアナリスト、ベルナール・ドゥロンジュビアル氏は「これら3行は潜在的に最も厳しい状況にあると市場は見がちだ」と語る。

世界中の金融当局が同様の基準策定に取り組んでいるが、11月にオーストラリアのブリスベーンで開く20カ国・地域首脳会議(サミット)に提出する共通アプローチの詳細をめぐり、まだ合意に至っていない。

米国では連邦預金保険公社(FDIC)が連邦準備理事会(FRB)と協力して基準策定に当たっている。

<バッファーを倍増>

FRBは欧州連合(EU)の当局に比べて厳しい姿勢をとる傾向にある。EUは銀行の損失吸収力をバランスシートの約18%としたい意向で、アナリストによるとFRBは18─25%の中間あたりとしそうだ。

この規則は、銀行の破綻処理に際して金融システムへのリスクを抑え、納税者の負担を避けることを意図している。FDICは破綻処理計画を説明しているが、それも資本バッファーを厚くしなければ実現不可能だ。

ドゥロンジュビアル氏は「銀行は多かれ少なかれ資本ベースをリスク性資産の9─10%程度確保するよう義務付けられている。これを倍増できるようなデットファイナンスを確保せよという、ざっくりとした話だ」と言う。

フィッチ・レーティングスも最近、新規則では損失吸収力20%が義務付けられるとの想定を示している。

ロイターの分析では、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンBK.Nの損失吸収力は23.4%、シティグループC.Nは22.8%、バンク・オブ・アメリカBAC.Nは23.2%。

<詳細は今後>

アナリストによると、FRBが示す規則の詳細によっては、銀行は長期債務による資金調達を増やすことが困難になるかもしれない。

所要水準に加え、どのような調達手段が対象と認められるかはっきりしないことが、銀行にとってさらに気がかりな点だ。

ウェルズ・ファーゴの損失吸収力が他行に見劣りする一因として、同行の資金調達が顧客預金に大きく依存しており、他の銀行や投資家から資金を借りる必要が小さいことが挙げられる。

顧客は突然預金を引き出すこともあるとはいえ、預金は依然として「粘着性が高い」と考えられているため、銀行は預金が一挙に引き揚げられる事態を想定しない。FRBもその点を勘案し、ウェルズ・ファーゴのような銀行には長期デット調達基準に関して他の銀行よりも大きな裁量余地を認めるかもしれない。

ドゥロンジュビアル氏は「ビジネスモデルによって銀行間で一定の差が設けられるとしても驚かない。ただ、これはあくまで想定であり、そうした情報を得ているわけではない」と話した。

モルガン・スタンレーMS.Nとゴールドマン・サックスGS.Nはウェルズ・ファーゴに比べて預金による資金調達がずっと少なく、損失吸収力がレンジ上限と考えられる25%を超えるのはこの2行だけでもある。

規則策定に携わるFRBの上級スタッフは先週の会合で、FRB独自の規則を提示する前に、G20の金融安定理事会において世界の規制当局のコンセンサスを形成することが望ましい、との考えを示した。

(Douwe Miedema記者)

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