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アングル:スコットランド独立で予想される「中銀と通貨の大問題」

[ロンドン 8日 ロイター] - 18日に予定されるスコットランド独立の是非を問う住民投票で独立賛成派が勝利し、新国家を立ち上げることになれば、独自の中央銀行と通貨の創設という「大問題」に直面するかもしれない。

9月8日、18日に予定されるスコットランド独立の是非を問う住民投票で独立賛成派が勝利すれば、独自の中央銀行と通貨の創設という「大問題」に直面するかもしれない。イースト・キルブライドで4日撮影(2014年 ロイター/Russell Cheyne)

独立賛成派のスコットランド国民党(SNP)のサモンド党首がずっと温めている青写真では、独立スコットランドはイングランド銀行(BOE)を残りの英国と共通の中央銀行に、ポンドを共通通貨にするというものだ。

だが英国の主要3政党は、こうした通貨同盟構想を拒絶し、拒絶は「はったり」ではないと強調する。

そこでスコットランドが独立した場合にどんな通貨を使うのかが、住民投票を控えた今、最も重大な問題といえる。

独立派が住民投票で勝利すれば、その後に英政府が従来の態度を翻して通貨同盟に受け入れない限り、スコットランドは一方的にポンドを採用するか、独自の中銀による新通貨を生み出すかを選ばなければならない。

もし新通貨の道を選択したなら、サモンド氏が北欧諸国のような政府系ファンド(SWF)を設立する希望を持っていたとしても、実際には十分な外貨準備の積み上げに苦労する恐れがある、というのが一部のエコノミストの声だ。

また残りの英国の同意なくポンドを採用すると、スコットランドが国内の銀行に支援を提供し、経済のかじ取りをしていけるのかをめぐって大きな問題が生じてくるだろう。

こうした中でサモンド氏が掲げる独立計画の柱となるEU加盟に暗雲も漂ってきた。

7月まで欧州連合(EU)欧州委員会の副委員長(経済・通貨担当)だったオッリ・レーン氏が先週、独立スコットランドがEUに加盟する条件としてユーロ加入を約束する必要があるとの見方を示したのだ。

サモンド氏はこれまで、スコットランドはユーロに入るつもりはないと言い続けている。

英政府はこのレーン氏の発言をスコットランド独立計画を攻撃する格好の材料としてすかさず利用した。

しかしスコットランド政府の経済顧問評議会メンバーで同地のセント・アンドリュース大などで教べんを執るアンドルー・ヒューズ・ハレット氏は、EU加盟国のスウェーデンがユーロ加入の約束履行を迫られていない点を挙げて、スコットランドもEU加盟に際してユーロに入る必要はないと強調している。

スコットランド側はこうした主張をいつかEU司法裁判所でも展開するだろうが、恐らくは他の加盟国からの反論にぶつかる。少なくともスコットランドが円滑に独立してしまうとカタルーニャ分離運動を勢いづかせるのではないかと懸念するスペインは、反対することになる。

<独自中銀と独自通貨>

多くのエコノミストによると、より単純な選択肢は、スコットランドが独自の中銀の下で独自の通貨を創設することだ。それによって独自の政策を追求できる自由度が高まる。

自国の中銀を立ち上げる仕事自体はそれほど厄介なことではない。スコットランドは既に、銀行セクターを監督し、データを収集するための「スコットランド金融機構」の設立は提案している。

国際通貨基金(IMF)のような国際機関も手助けをしてくれるだろうし、より大きな国から分かれたクロアチアやスロバキアも滞りなく中銀を作った。

さらにラボバンクのチーフエコノミスト、ウィム・ブーンストラ氏は、有力な経済学者を輩出してきたスコットランドの歴史に照らしてみれば、人材にも不自由はしないとみている。

ブーンストラ氏は「技術的な面では、2年間の移行期間があれば当然のことながら中銀を設立できる」と述べた。

スコットランドが独自通貨を採用するなら、最も可能性が大きいのはポンドにペッグする方法だろう。

ノーベル経済学賞受賞者でスコットランド政府に助言し、正式な英国とスコットランドの通貨同盟を好ましいと考えているジェームズ・マーリーズ氏は、スコットランドは通貨を米ドルペッグ制にした香港にならうことができるとの見方を示した。

英政府は特にスコットランドがポンドの共有を拒まれた報復として英国の債務分担から逃れようとするなら、スコットランドの借り入れコストは増大すると警告する。ただマーリーズ氏は、スコットランドは新通貨を支えるための外貨準備積み上げに向けた借り入れは可能だとも指摘した。

それでもグラスゴー大学のロナルド・マクドナルド教授(経済学)によると、スコットランドの外貨準備積み上げはより困難な作業になりかねず、独立派が掲げる歳出に関する公約の実現性に疑問符がつくとみられる。

マクドナルド氏はフィナンシャル・タイムズ紙への寄稿で、同規模の北欧諸国の外貨準備が平均400億ポンドなのに対して、英国の外貨準備におけるスコットランドの持ち分は60億ポンド程度にとどまると説明した上で、「十分な外貨準備を確保するには財政緊縮策が必要になる」と記した。

(William Schomberg記者)

*見出しを修正して再送します。

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