[北京/香港 27日 ロイター] - 中国当局はクロスボーダーの投資制度を利用して外国機関投資家が得た利益に対し、過去5年間さかのぼって課税する計画を明らかにした。損失を考慮しない総利益を課税対象にするなど、多くの投資家が予想していたよりも厳しい内容となった。
国家税務総局の地方組織の当局者らが26日に開いた制度参加者向け説明会に出席した複数の関係筋が主な内容を明らかにした。
関係筋によると、新たな課税策は2009年11月17日から14年11月16日の間に、中国国内の金融商品への投資を制限付きで認める適格外国機関投資家(QFII)制度と人民元適格外国機関投資家(RQFII)制度で得た利益が対象。株式やハイブリッド商品の取引で得た利益に対し、10%の法人税率を適用する。ただ、純粋な債券および転換社債(CB)の取引には適用しない。
新たな課税策の開始時期や納税期限については、言及がなかったという。
これまでに認められた両制度を合わせた投資枠は、推計で1160億ドル。中国当局は過去にさかのぼって課税する姿勢をこれまで維持していたため、投資家は利益の一部を課税に備えて引き当てていた。ただ、投資家の多くは、国際的な基準に沿って、総利益ではなく純利益に課税されると予想していた。
ロイターが確認した説明会でのスライドでは、「株式投資は各個別取引の利益を基に課税され、10%の税率が適用される。複数の取引の利益と損失を差し引きすることは認められない」と説明されている。
調査会社Zベン・アドバイザーズによると、課税額は投資家の引当金を最大で40億ドル上回る可能性がある。
同社のマイケル・マコーマック取締役は「QFIIの投資家の大半は引当金が不足する公算が大きい。QFIIのほとんどが利益と損失の差し引きを基に引当金を設定しているのに対し、差し引きが認められていないからだ」と述べた。
中国証券監督管理委員会と国家税務総局からはコメントを得られなかった。
14年11月17日以降については、上海・香港市場の株式相互取引の開始に伴い外国人の個人投資家や機関投資家に適用されている課税策が導入されるとみられる。
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