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日銀総裁が目標柔軟化に反論、デフレ脱却「十分な速度と勢い」で

[東京 27日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は27日、都内での講演で、デフレ脱却過程で2%の物価安定目標を実現するには、予想物価上昇率の引き上げを「十分な速度と勢い」で実現することが不可欠と強調し、市場や政府の一部から出ている2%の物価目標水準の引き下げや達成期限の延長などの議論に反論した。政府内で複数の指標案が浮上している財政健全化については、基礎的財政収支の黒字化が「第一歩」と言い切った。

 2月27日、日銀の黒田東彦総裁は都内で講演し、15年も続いたデフレから脱却するには「ロケットのように大きな推進力が必要」と指摘した。18日撮影(2015年 ロイター/Thomas Peter)

<デフレ脱却、ロケットの推進力必要>

総裁は、日銀が現在推進している2%の物価安定目標の実現に向けた取り組みを、人工衛星の打ち上げに例え、15年間続いたデフレから脱却するには「ロケットが強力な地球の引力圏から離れるときのように、大きな推進力が必要」と語った。

インフレ期待が2%程度で安定している米国などのように「すでに安定軌道を回っている人工衛星とは違う」とし、「高度1%の軌道は十分ではない。低い軌道では、また引力に引き戻される」と指摘。昨年来の原油価格急落で物価上昇率の鈍化が続く中、市場や政府関係者の一部から出ている目標水準の引き下げ議論に反論した格好だ。

また、現在「2年程度を念頭に、できるだけ早期に」としている目標達成期限についても、「いつかは2%にするので信じてほしい」と言っても企業や家計が行動を変えたかは「疑問」と指摘。日銀が期限を示したことで量的・質的金融緩和(QQE)のメカニズムが動き出したとし、物価2%の早期実現のコミットメントと異次元規模の緩和によって、予想物価上昇率の引き上げを「十分な速度と勢いで実現していくのが量的・質的緩和の核心だ」と強調した。

<追加緩和で日銀の本気度証明した>

そのうえで、日銀が2%の早期実現に本気でないと思われてしまえば、QQEは「機能しなくなる」と主張。昨年10月末に実施した追加緩和で市場が大きく反応したことを指摘し、「(追加緩和前は)本気度を疑われていた部分があったのかも知れない。しかし、緩和後にその疑いは晴れた」と語った。

追加緩和後も原油価格は下落しているが、「デフレマインドの転換は着実に進んでいる」との見方を示し、追加緩和によってデフレマインドの転換が遅れるリスクは「ひとまず予防できた」と述べた。想定する物価2%の達成時期は「原油価格の動向によって多少前後する可能性がある」としたが、あらためて「2015年度を中心とする期間」には可能と指摘。もっとも、物価の基調に変化が生じ、目標実現に必要になる場合は「ちゅうちょなく調整を行う方針に変わりはない」とも付言した。

原油価格下落については、実質所得の増加を通じて成長率を押し上げるため、「長い目では物価にプラス」としつつ、「予想を通じた物価の基調を注視する必要がある」と指摘。理由が原油価格であっても物価指数の下落が家計や企業の物価感を押し下げるリスクがあれば、追加緩和を検討する政策姿勢をあらためて示した。

<20年度PB黒字化、財政健全化の第一歩>

政府内で財政健全化目標として2020年度の基礎的財政収支(PB)黒字化との従来目標に加え、債務の対GDP比率や政府保有資産を差し引いた純債務を指標にすべきとの声が浮上している。しかし、黒田総裁は「長期的には債務の対GDP比を引き下げるのが重要」としつつも、現行の「GDP比200%前後の債務は異常に高い」とし、「20年度のPB黒字化は債務GDP比引き下げの第一歩」と強調。黒字化まずありき、との見解を明示した。

政府資産を差し引いた純債務については、「政府の保有資産、実際には売れない」上、「公共サービスを切り下げる必要があるほどの債務危機でなければ」指標とするのは「あまり現実的でない」と述べた。

また、日銀による大規模な国債買い入れは、あくまで2%の物価安定目標を実現するためであり、「財政赤字のファイナンスが目的ではない」と重ねて表明した。物価が2%で安定・持続する状況を実現できれば、QQEを継続する必要ないと強調。一方、物価の基調を押し上げ要因である需給ギャップがプラスになっても、物価が2%に達していなければ緩和政策を継続する考えを示した。

*内容を追加します。

竹本能文、伊藤純夫

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