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焦点:ECBのQE実効性になお疑問、ポジション調整に利用も

[東京 6日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)による量的緩和策(QE)の詳細が明らかになり、ユーロが下落し、株価は上昇した。だが、マイナス金利を維持したことで目標通りの国債購入の実現性について疑問視する声が依然として多い。

 3月6日、欧州中央銀行(ECB)による量的緩和策(QE)の詳細が明らかになり、ユーロが下落し、株価は上昇した。だが、マイナス金利を維持したことで目標通りの国債購入の実現性について疑問視する声が依然として多い。2012年6月撮影(2015年 ロイター/Murad Sezer)

金融相場を加速させたというよりも、2月米雇用統計を前にしたポジション調整に利用された面が大きいとみられている。

<マイナス0.2%に下限を設定>

今回公表されたECBのQE詳細で市場がもっとも注目したのは、資産買い入れの条件の部分だ。マイナス金利の国債などを買い入れる一方、そのマイナス金利の下限は現在のECBの中銀預金金利であるマイナス0.2%に設定した。0.2%よりもマイナス幅が大きい資産は買い入れない。

欧州主要国では、短い金利ゾーンがすでにマイナス金利となっていることから、ECBの国債買い入れは、まだプラスの金利が付いている長い国債に向かいやすいとみられる。

ただ、金融機関がECBに国債を売って得たキャッシュを再び0.2%のマイナス金利が付くECBの中銀預金に預けるかは疑問だ。

ECB版QE、正式には公的部門証券買い入れプログラム(PSPP)は来週9日からスタートするが「今月はECBが無理して目標額まで買ったとしても、来月も同じように買えるかはまだわからない」(三菱東京UFJ銀行・シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏)という。

月間購入目標の600億ユーロを達成し続けることができなければ、ECBのバランスシートは予定通りに膨らまず、ユーロ安効果も減衰することになる。さらに「各国の金融緩和をベースにした金融相場が、いまの世界同時株高の正体。予定通りQEが実行できないとすると、スイスのように中銀ショックが起きるおそれもある」(外資系投信ストラテジスト)との声もある。

<米雇用統計前の調整か>

評価が芳しくないなかで、市場がユーロ安・株高に動いたのは「QEを評価したというよりも、2月米雇用統計前のポジション調整の面が大きい」(三井住友信託銀行・為替セールスチーム長の細川陽介氏)との見方がもっぱらだ。

5日の欧州外為市場でユーロは対ドルで11年半ぶり、対英ポンドで7年ぶり安値を更新した。「久々のユーロ安水準だったので、オプションのトリガーを次々とヒットした。米雇用統計前にオプションからみのポジションを整理しておこうという動きもあったようだ」(邦銀・為替担当者)という。

欧米株は上昇、日経平均.N225も6日の市場で200円高となり、1万9000円大台に肉薄した。緩和マネーが債券から株式にシフトしてきたとの指摘もあったが、円債先物も上昇(金利は低下)した。「日本株が3月4日にかけて下落した際に構築されたショートの踏み上げ。公的年金の買い観測もあったことで、一気に巻き戻されたようだ」(国内証券)とされ、株式市場でもポジション調整の色彩が濃かったようだ。

一方で、食品株や薬品株などディフェンシブ株が急伸。予想PER(株価収益率)はキッコーマン2801.Tが52倍、カルビー2229.Tが41倍、武田薬品工業4502.Tが80倍、小野薬品工業4528.Tが138倍と割高感が強い水準まで株価は上昇。それでも人気が衰えない。

岡三証券・投資戦略部シニアストラテジストの大場敬史氏は「金融緩和などを背景に、投資家のリスク許容度が高まっているようだ。ヘッジファンドなど短期筋ではなく、海外の長期投資家の買いに動いているとの観測があるが、バブル的な匂いも強くなってきており、警戒が必要だ」との見方を示している。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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