[北京 13日 ロイター] - 中国税関当局が発表した3月の輸出は前年同月比15%減と、市場予想の12%増に反し、大幅なマイナスとなった。減速する中国経済への懸念が強まりそうだ。
人民元の上昇が一因で、欧州連合(EU)向けは19.1%減、日本向けは24.8%減となった。
内需の弱さを反映し、輸入も同12.7%減少した。市場予想は11.7%減だった。
華宝信託の(上海)のストラテジスト、ニー・ウェン氏は「輸出の落ち込みは主に海外需要の弱さが要因だ」と指摘。「今後、追加緩和策が必要になる」との見方を示した。
貿易収支は30億8000万ドルの黒字で、黒字幅は市場予想の454億ドルを大幅に下回った。
貿易セクターのさえない状況は労働市場に打撃を与えかねない。景気が減速するなか、これまでのところ労働市場はうまく持ちこたえているが、政府は失業増加によって社会的な不満が高まり、治安が悪化することを懸念している。
2014年の輸出と輸入を合わせた貿易の伸びは3.4%で、政府の通年目標である7.5%を下回った。これを受けて、政府は2015年の貿易伸び率予想を約6%に引き下げている。
RBS(香港)のエコノミスト、ルイス・クジス氏は輸出統計について「予想を大幅に下回る非常に弱い数字だ。世界経済と中国の競争力の双方に警鐘を鳴らすものだ」と述べた。
新華社によると、汪洋副首相は今月、景気の悪化を招かないよう、輸出の減速に歯止めをかける必要があると発言。地方政府は「優先的な政策支援」を通じて、輸出への民間投資を奨励すべきだと述べた。
第1・四半期では輸出は前年比4.7%増。前年は3.4%減だった。一方輸入は17.6%減、前年は1.6%増だった。
アナリストによると、内訳からみて3月の輸出は元高が圧迫要因。
税関当局の報道官も、輸出業者が元高の影響を受けていると指摘。労働、資金調達、為替レートによるコストが「引き続き高水準で、伝統的な貿易の競争面での利点が低下している」と述べた。
同当局者によると、政府調査では輸出業者の56.2%が3月はコストが増加したと回答した。
コンファレンスボードのエコノミスト、アンドリュー・ポーク氏は「貿易黒字がかなり低い水準となったことで、この先人民元相場が軟化する可能性がある」と述べた。
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