[ロンドン 1日 ロイター] - 国際金融市場はこのところ平静を保っているが、アナリストの間では、水面下で進んでいる流動性の縮小が、米利上げなどのショック要因で信用収縮に発展すれば、市場が混乱に陥りかねないとの懸念が浮上している。
今週はドイツの10年物国債が急落し、利回りが約2年ぶりの大幅な上昇を記録した。
一部のアナリストは、流動性不足が国債急落の原因だと指摘。コメルツ銀行はドイツ国債の急落を「フラッシュクラッシュ」と表現した。
売買スプレッドの拡大など、流動性の低下を示す明確な形跡はみられないが、ドイツ国債市場では3月に、売買スプレッドが3年ぶりの高水準となる6ベーシスポイント(bp)近くまで一気に拡大する場面があるなど、混乱の芽が見え隠れする。
グレイスパーク・パートナーズの分析によると、米高格付け社債市場では、2011年以降の平均売買スプレッドが12bp前後と、金融危機前の5年間の平均である7bpを上回っている。
流動性はつかみどころのない概念で、正確な測定は不可能だ。流動性不足は危機的な状況に至って初めて露呈する。
アナリストは流動性が縮小しているとの認識で一致しており、流動性の不足が進めば、一気に売買スプレッドが拡大し、取引が成立しない状況に陥りかねない。
世界的な金融緩和を背景に資産価格が上昇している間は問題ないが、相場が突然反転し、資産を売りたくても買い手が見つからない状況に陥れば、深刻な問題になりかねない。
国際資本市場協会(ICMA)のディレクター、アンディ・ヒル氏は「流通市場の流動性が干上がれば、発行市場にも影響が及ぶ。今は非常にぜい弱な状態だ」と指摘。
同氏は、信用収縮が起きれば、低格付け社債、ハイイールド債、新興国市場が最も大きな影響を受けるとの見方を示した。
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