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出口言及、市場に混乱招き時期尚早=黒田日銀総裁

[東京 17日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は17日午前の衆院財務金融委員会に出席し、量的・質的緩和(QQE)からの出口戦略について、色々と議論はしているが、物価目標達成まで距離がある現状では詳細を明らかにするのは時期尚早との見解を示した。民主党の古川元久委員への答弁。

 10月17日、日銀の黒田東彦総裁は衆院財務金融委員会に出席し、量的・質的緩和(QQE)からの出口戦略について、詳細を明らかにするのは時期尚早との見解を示した。11日撮影(2014年 ロイター/Joshua Roberts)

黒田総裁は「2%の物価目標を達成し安定的に維持すれば、当然QQEから脱却する」と指摘。現在は「2%目標の達成まで道半ばのため、出口戦略の具体的議論は時期尚早」との従来見解を繰り返した。

ただ「出口戦略は、経済・市場状況で変わる」とし、様々なケースに応じた議論について「今から申し上げると市場との対話に混乱をきたす」と説明した。

量的緩和を進めている各国中銀は、それぞれに出口戦略を検討しているが、対外的な発信の是非は、「出口の近さで異なる」と指摘し、米中銀は出口に最も近いため議論を開示していると説明した。

日銀はQQEで巨額の国債買い入れを行っているが、「国債市場の動きを丹念に点検」「市場関係者と密接な意見交換しオペ運営を工夫している」と述べ、「引き続き国債市場の安定に努める」と強調した。「どこの国でも国債の市場が最も大きく、金融調節の手段となっている」とも指摘した。

消費税引き上げは「万が一先送りされ、確率は低いが財政への信認が失われば対応が極めて困難」との見解を強調し、引き上げについて政府は「総合的に判断する」と理解を示した。

また、「2年との期間目標は放棄したのか」との坂元大輔委員(次世代)の質問に対し、あらかじめ期限を切っていないとの見解をあらためて示した。

黒田総裁は「昨年4月以来 2%の目標を2年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現するという方針に変わりはない」とし、2%目標の「一時的な達成でなく、安定的な持続を目指しており、必要な時点まで継続する。その意味であらかじめ期限を切っているわけではない」と強調した。

総裁は8月の消費者物価指数(生産食品を除く)の前年比プラス幅が7月より縮小したのは「エネルギー価格の低下を反映している」とし、エネルギー価格の上下が「足元の物価に影響するのは事実」と指摘した。

しかし、中長期的な物価は潜在的な供給力に対する実需とのかい離を示す需給ギャップと予想インフレ率が決めるとの見解を強調。「需給ギャップが最近はゼロ近傍にある」と指摘した。

足元の物価はエネルギー価格に左右されるが、中長期的な物価は需給ギャップの改善と予想インフレ率の上昇に伴って上がっていくとの見解を繰り返した。

消費税の引き上げをめぐり「国全体、財政運営の信認確保は極めて重要」とし、政府の「持続可能な財政確立の取り組みに期待する」と強調した。

*内容を追加して再送します。

竹本能文

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