[ワシントン 16日 ロイター] - 知的所有権保護をめぐる環太平洋連携協定(TPP)交渉について、医療関係者や法律の専門家などからは、現在の形で合意すれば医薬品価格の上昇につながるとの指摘が出ている。
内部告発サイト「ウィキリークス」はTPP交渉をめぐる条文案を公開。それによると、医薬品の特許や著作権など知的所有権については依然として各国の隔たりが大きい。
ただ、5月16日付となっている文書の内容で合意すれば、特許期間の延長などにより医薬品価格が長期間高止まりし、割安な後発薬(ジェネリック)の普及が遅れるとの指摘が出ている。
国際医療NGOの「国境なき医師団(MSF)」は、「現在の形で条文に合意すれば、手ごろな価格での医薬品入手が困難になり、アジア太平洋地域で数百万人の健康状態に悪影響を及ぼす」と主張した。
ノースウエスタン大学のブルック・ベーカー教授は公開された条文案について、後発医薬品の開発を阻害したり、特許の延長を容易にしたりする提案が盛り込まれていると指摘。「大手製薬会社には大金を、患者には災難をもたらす内容だ」と述べた。
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