for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

バーナンキ米FRB議長の会見要旨

[ワシントン 20日 ロイター] バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は20日、連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見を行った。 発言内容は以下の通り。

6月20日、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は、連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見を行った。ワシントンで7日撮影(2012年 ロイター/Jason Reed)

<欧州ソブリン債買い入れの可能性否定>

FRBが欧州ソブリン債を買い入れる予定はない。例外としては、外貨準備の一部として非常に限られた規模の欧州ソブリン債を保有しているが、これは主に少数の国に関するものだ。従ってこれはわれわれが関与していくものではない。

<可能な政策措置>

FRBがとり得る追加措置は存在し、コミュニケーションを通じ、かつ将来の政策見通しを明示することで、FRBはそれを行ってきている。これは日本がとった方策でもある。また、資産買い入れを通じた追加措置も可能で、これも日本で講じられた策だ。短期金利がゼロ付近にある環境においても、中銀は景気回復支援に向けた金融緩和を実施する能力がある。

ただ、これら非標準的政策は十分には理解されておらず、コストやリスクが伴うことも確かだ。しかし、景気支援において効果を発揮すると考える。

<欧州情勢や米国のエクスポージャーを監視>

銀行や他の金融機関の欧州へのエクスポージャーを監視している。無論、銀行や金融機関も状況を注視しており、最善の結果を期待する。欧州の政策担当者が状況の安定化に必要な追加措置を講じることを期待しているが、状況が悪化した場合、われわれは米経済および米金融システムを守る用意ができている。

<欧州情勢は米経済の足かせの一つ>

欧州情勢が悪化しないことを望む。欧州情勢は既に、米景気回復の足を引っ張る要因の一つとなっている。ただ、決して唯一の要因ではない。

欧州が追加対策を講じ、状況の安定化や持続的な安定構造の基盤構築に必要な措置を全て実施することを期待している。持続的な安定構造においては、銀行と国家財政がいずれも安定化するとともに、成長のためのプログラムが打ち出され、財政上の取り決めがより明確にされることを期待している。取り組むべきことは多い。

欧州の政策当局者にはこの問題に適切に対処する極めて強いインセンティブがある。われわれは欧州当局者が適切に対応することを強く期待しており、緊密に連絡を取っている。しかし、欧州からさらなる問題が浮上する可能性に備えることも非常に重要であり、われわれはそうした用意をしている。

<月次の労働市場統計>

これまで数カ月間、非常に力強い雇用の伸びが見られたが、2カ月間は弱めの伸びにとどまった。明らかに単月の動きは統計上の雑音(ノイズ)になる見通しで、今後も雇用の伸びへの変動要因はいくらでも出てくるだろう。肝心なのは、改善が持続可能で、長続きするかということで、こうした点をわれわれは注視していく。

<JPモルガン問題>

(JPモルガン・チェースJPM.Nが出した)損失に絡み、規制上重要だったであろう側面として、ヘッジがどのように行われ機能するかについて前もって計画書を提出するよう銀行に求める必要があったという点が挙げられる。それが実際に守られているか、リスク管理が適切に行われているか確認する監査手続きと、手続きを監視するルールが必要だ。

<住宅市場は幾分改善>

住宅市場は、建設活動そのものや関連産業を通じて、また住宅価格の上昇によって消費者が保有する資産(価値)を高め、消費支出を促進することで、通常、経済回復において非常に重要な役割を果たす。住宅市場は幾分改善しているように見える。一部には好ましい兆しも見受けられる。ただ、景気を押し上げるだけの規模ではなく、通常の住宅セクター回復がもたらす経済回復への貢献は見られない。

<財政の崖>

現段階ではまだ少し早いが、年終盤にかけ、財政の崖をめぐる不透明性が経済に影響すると予想する。今日のFOMCでは、政府から事業契約を得ている企業などが1月以降も契約を受けられるか不確かという話を耳にした。

財政政策に関する重要な3項目について話をした。まずは回復に害を与えず、回復を著しく阻害する財政の崖を回避する。第2に、長期的に持続可能な財政の道筋を確立するための努力を継続し、最後に、より優れた税制を実現し、政府の支出プログラムの有益な利用に向けた効果的な財政政策をとることだ。議会がこの3項目を実行できれば、最終的にかなりの恩恵を得ることができるだろう。

<クレジットへのアクセス>

クレジットへのアクセスは大きな問題だ。この点に疑いの余地はない。住宅ローンの利用は、これまでの長期間と比べて随分厳しくなっている。クレジットカードの利用も一段と制限されている。これは、ある程度、FRBの対応効果に立ちはだかるものだ。そうした上で、FRBの政策が社会全体に貢献していないとの判断は正確だとは思わない。

<欧州情勢の米国への影響>

欧州情勢が米経済の成長を減速させていると確かに思う。欧州諸国すべてがリセッション(景気後退)に陥っているわけではないが、明らかに多くの域内国がリセッションに突入しており、米国の対欧州貿易や米国製品への需要に影響を与えている。

より広範な観点では、欧州をめぐる懸念による金融市場への影響が市場の変動を増幅させ、株価を押し下げるとともに信用スプレッドを拡大し、全般的に経済成長にもマイナスの影響を与えている。

<欧州との連携>

欧州が最重要事項となっている。欧州は裕福な地域だ。これらの問題に対処するための資源を有している。ユーロ圏を維持し、ユーロ加盟国で構成される貿易圏を維持することは加盟国にとり非常に重要となっていることから、欧州はこれらの問題への対処に専心している。このため、主導権は彼らに任せる。

米FRBは欧州首脳との対話、協議に非常に深く関わっている。自分自身、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁をはじめ、欧州の中銀関係者と頻繁に話す機会がある。

われわれはできる限りの支援を行おうとしている。もちろん、これまでも主要中銀との間のドルスワップ協定を調整してきた。ドルスワップ協定により、ドル資金調達市場の圧力が軽減され、欧州の銀行が米国の借り手も含めドル建ての融資を継続することができた。

現時点でも頻繁に協議している。建設的に協力することができれば、協力する用意がある。ただ現時点では、われわれれは主に協議するだけの立場となっている。

<米FRBが有する手段は枯渇していない>

FRBにもはや手段は残されていないとの見解は、受け入れない。

われわれが有している手段は非標準的ではあるものの、依然として、一段と緩和的な金融情勢を実現し、景気を支援し、一段と正常な経済情勢に回帰させることが可能だ。

<追加措置の用意>

最適な政策の道筋の考え方は個人によって異なることから、それについては議事録でより詳しい情報を提供する。繰り返しになるが、われわれは一段の措置を講じる用意がある。経済の現状や見通し、欧州の情勢について追加の情報を入手する必要があると考える。

しかし、非標準的措置にはそれぞれ、市場の機能や金融安定、解除のプロセスという点でさまざまなコストとリスクが伴うことを付け加えておく。したがって、安易に着手すべきではないと考える。必要だという確信がある程度なければならないと思う。ただ、そういった確信に至ればわれわれは追加措置に踏み切る。

<失業率は依然高過ぎる>

失業率は依然として高過ぎるが、低下している。ピーク時は10%程度だったが、現在は8%に近い。ペースが余りにも遅いものの、低下はしている。雇用はあるが、われわれが望むペースではないと感じている。連邦公開市場委員会(FOMC)声明や議長としての発言で表明しているように、雇用市場に継続した改善がみられない場合、適切であれば、新たな措置を講じるよう準備する見通し。

<金融政策は万能薬ではない>

金融政策は万能薬ではない。金融政策のみで経済問題を解決することはできない。他の政府機関や経済政策当局者からの支援を歓迎する。協力できればすばらしいことだ。

<追加資産買い入れの可能性>

われわれが決定した(米国債ポートフォリオの短期債を減らして長期債を増やす)「オペレーション・ツイスト」の延長は、意義のある措置で、ある程度追加的な支援を提供するものとなる。

追加的な資産買い入れは、経済のてこ入れに向けさらなる措置の導入が必要になった時、当然、検討される措置に含まれる。

<量的緩和>

このようなプログラムは依然として追加支援を提供することが可能だ。

<必要な措置を講じる用意>

われわれは本日、経済に追加的な緩和を提供する措置を講じた。これは重要なステップだ。さらに、持続的な成長と労働市場の回復を促すために必要な一段の措置を講じる用意があると表明した。われわれは必要な措置を講じる用意がある。経済を支援する用意がある。

*内容を追加して再送します。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up