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グローリーが約800億円の大型M&A、英社買収で海外展開加速

[大阪 14日 ロイター] グローリー6457.OSは14日、貨幣処理機の販売などを手掛ける英タラリス社(べージングストーク市)を買収すると発表した。全株式を取得する。

タラリスの既存有利子負債の借り換えを合わせ、買収総額は約800億円(6億5000万ポンド、1ポンド123円で換算)となる見通し。12年3月期連結売上高が1450億円の見通しであるグローリーにとって、数百億円規模の大型M&A(企業の合併・買収)は初となる。

大阪市内の会見で尾上広和社長は、英社の子会社化で「通貨処理機分野で世界のトップブランドを目指す」と述べ、銀行窓口用紙幣入出金システムの販売で海外展開を加速させる考えを示した。タラリスが持つメンテナス体制を活用することで、海外で利益を継続して出せるよう、事業構造の強化も目指す。

買収資金は手元資金と銀行借り入れなどでまかなう。関係各国の法令上の手続きもあり、株式売買契約締結日と同引渡期日は未定としている。タラリスの筆頭株主は、米投資会社カーライルが欧州で組成したファンドで、普通株式における持ち株比率は約88%。残りはタラリス経営陣が持つ。

グローリーによる買収については、タラリスの経営陣からカーライルに要請があったという。子会社化によるのれん代の償却年数などについては今後、検討するとした上で、尾上社長は「連結にマイナスにはならないような格好で決めていきたい」と述べた。

タラリスの11年3月期の連結売上高は395億円(3億2148万ポンド)、連結営業利益は46億円(3752万ポンド)、当期純損益は10億円(855万ポンド)の赤字。同社は世界22カ国に直販・直メンテナンス網を持つ。

<買収で海外顧客基盤を強化>

グローリーによると、銀行窓口用紙幣入出金システムの世界市場におけるシェア(金額ベース)は、タラリスが41%、グローリーが18%という。独禁法上の懸念についての質問に対し、尾上社長は「貨幣処理機の領域から見れば、TCR(銀行窓口用紙幣入出金システム)は微々たるもの」と指摘。海外当局がどのように捉えるかは判断しにくいとしたものの「(グローリーとしては)大丈夫と思っている」と答えた。

また、尾上社長は「タラリスがシェアを伸ばしているのはアメリカと新興国」と述べるとともに、タラリスの営業利益が過去3年、増加傾向にあることについて触れ「保守の収入が非常に多い。(経営)基盤が安定している」と話した。両社の経営資源を活用し、金融機関以外に流通業向けなどでも新たな顧客開拓につながるとの見方を示した。

<円高も追い風>

同席した吉岡徹常務執行役員は会見後、記者団に対し、タラリスの買収案件について3年前に一度、オファーがあったことを明らかにした。ただ当時の為替レートやタラリス側の生産設備の負担などを考慮し、一度はM&Aを見送ったという。現在は、タラリスによる工場の売却が進んだほか、円高も追い風となり、買収を決断しやすい環境となったという。

(ロイターニュース 長田善行;編集 宮崎亜巳)

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