[東京 24日 ロイター] 自見庄三郎金融担当相は24日の閣議後会見で、AIJ投資顧問(東京都中央区)に対し、1カ月の業務停止命令と業務改善命令を出したことを明らかにした。
証券取引等監視委員会による検査で、同社の運用資産が毀損(きそん)している恐れがあると判明したことを受けた措置。金融庁は同社が顧客に運用状況を説明できない状況にあることから、投資家保護の観点で行政処分をしたとしている。関係筋によると、2000億円近い運用資産の大半を毀損した恐れがある。
AIJは、年金基金を主たる顧客とする投資運用業者。同社の2010年12月末時点の契約件数は年金基金など120件で、運用資産は1832億円。3月23日までの1カ月間、契約の解約を含めて全業務を停止させ、資産の外部流出を防ぐ。金融庁や監視委は、毀損額や原因について「調査中」としているが、関係筋によると、運用資産の大半が毀損したもよう。
一方、金融庁は、同業の投資一任業者263社への一斉調査を実施する。金融庁幹部は「現時点で同様の疑義のある業者が存在するとの情報は持っていない」としているが、他業者についても「予断を持たずに早急に一斉調査を実施したい」と話している。具体的な調査の内容や時期は今後、固める。調査の結果次第では、運用状況に関する外部監査の必要性など、制度の見直し議論に発展する可能性もある。
(ロイターニュース 平田紀之;編集 田中志保)
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