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日銀が金融政策を据え置き、成長支援の米ドル貸付の詳細決定

[東京 10日 ロイター] 日銀は9─10日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0─0.1%程度に据え置くことを、全員一致で決定した。金融資産買入基金による緩和策についても現行計画に変更はなかった。

4月10日、日銀は金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0─0.1%程度に据え置くことを、全員一致で決定した。写真は日銀本店(2012年 ロイター)

また、前回会合で決定した成長基盤強化を支援する資金供給制度の拡充措置のうち、米ドル貸し付けの詳細を公表した。

<米ドル貸し付けの利率、LIBOR6カ月物を適用>

米ドル貸し付けは、成長強化に資する期間1年以上の外貨建て投融資に対し、金融機関を通じて日銀が保有する米ドルを供給する仕組み。白川方明総裁(政策委員会議長)が、今回の会合までに詳細を詰めるよう、執行部に指示していた。貸付金利は米ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)6カ月物とし、半年ごとに金利を見直す。貸付期間は1年だが、最長4年までの借り換えが可能。貸付総額は120億ドルで、新規貸し付けを四半期ごとに1回あたり20億ドル程度で実施する。金融機関ごとの貸付残高は10億ドルが上限。受付期間は2014年の3月末とする。

<デフレ脱却に決意表明、「極めて重要な課題と認識」>

日銀は声明で、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが「極めて重要な課題であると認識している」と表明し、デフレ脱却に向けた強い決意を示した。その上で、デフレ脱却は「成長力強化の努力と金融面からの後押しの双方を通じて実現されていくもの」とし、成長強化の重要性をあらためて強調。日銀として、今後も強力に金融緩和を推進していくとするとともに、成長基盤強化を支援する資金供給制度を通じ、成長強化に向けた民間金融機関による取り組みを促していく方針も示した。

<日本経済に持ち直しの動き、先行き回復シナリオ維持>

日本経済の現状は「なお横ばい圏内にあるが、持ち直しに向かう動きがみられている」と判断。輸出は横ばい圏内の動きを続けているが、国内需要は被災設備の修復などから設備投資が緩やかな増加基調にあるとともに、個人消費は底堅さを増しているとした。こうした内外の需要を反映し、生産も「なお横ばい圏内にあるが、持ち直しに向かう動きがみられている」としている。

先行きについては、新興国・資源国を中心に海外経済の成長率が再び高まり、震災復興関連の需要が次第に強まっていくことから、「緩やかな回復経路に復していくと考えられる」とのシナリオを維持。消費者物価(CPI)の前年比上昇率は、「当面、ゼロ%近傍で推移する」との見通しを示した。

海外経済は「全体として、なお減速した状態から脱していない」としながら、「米国経済は緩やかな改善の動きが続いているほか、欧州経済も停滞感の強まりに歯止めがかかっている」と指摘。国際金融資本市場も「総じて落ち着いている」とした。

もっとも、先行きのリスク要因として、欧州債務問題の今後の展開や国際商品市場の動向、新興国・資源国の物価安定と成長の両立などを挙げ、「世界経済をめぐる不確実性が引き続き大きい」とも明記。物価面では、国際商品市況や中長期的な予想物価上昇率の動向などに注意が必要としている。

(ロイターニュース 伊藤純夫 竹本能文;編集 田中志保)

*内容を追加して再送します。

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