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日航が東証に上場申請、支援機構は6000─7000億円回収へ

[東京 20日 ロイター] 日本航空は20日、東京証券取引所に株式上場申請を行った。9月の上場を目指し、日航株の96.5%を保有する企業再生支援機構は、今回のIPO(新規株式公開)を通じて6000─7000億円を回収する計画。関係筋が同日、ロイターに語った。

6月20日、日本航空は東京証券取引所に株式上場申請を行う。9月の上場を目指し、日航株の96.5%を保有する企業再生支援機構は、今回のIPOを通じて6000─7000億円を調達する計画。羽田空港で4月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

9月の上場が実現すれば、日航が2010年1月に会社更生法の適用を申請してから約2年8カ月でのスピード再上場となる。同社は経営破綻後、人員削減や不採算路線の撤退などのリストラを進め、12年3月期の連結営業利益は過去最高を更新した。上場申請により経営再建の最終段階に入る。

トムソン・ロイターのデータによると、日航の時価総額がIPOの際に6000─7000億円に達した場合、今年の世界のIPOとしては、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手のフェイスブックFB.O(約160億ドル)に次ぐ2番目の規模となる。日本では過去7番目の規模になる見込み。また、競合する全日本空輸9202.Tの時価総額(約5780億円)を凌ぐ見通し。

官民ファンドの企業再生支援機構は、日航が2010年に破綻した後に3500億円を出資したが、IPOに合わせて株式を売り出すことで、出資額の約2倍を回収するとみられる。

<コスト構造改善>

日航の連結営業損益は経営破綻前の09年3月期は508億円の赤字だったが、12年3月期は過去最高の2049億円の黒字となった。売上高営業利益率も17.0%となり、全日空の6.9%を大幅に上回った。法的整理の過程で航空機などの資産価値を簿価から時価に再評価し、減価償却費が大幅に減少。さらに人員削減や賃金制度の見直しなどを通じて人件費を抑制するなどコスト構造が改善した。17年3月期まで営業利益率10%以上を毎年確保する目標を掲げる。

また、日航は銀行団が債権放棄を行ったため金利負担が軽減したほか、繰越欠損金に伴う法人税の減免効果などもあり、利益を生み出しやすい体質となっている。今後は米ボーイングBA.Nの最新鋭機「787」の導入拡大などの投資を進める。破たん以降は航空機の機材投資も縮小していたが、今後5年間で4780億円を投じる計画。

一方、有識者などからは更生企業が法人税の免除分で機材を購入できるのは公平ではない、との声もでている。航空業界は航空機を中心とした装置産業であり、設備投資にともなう借り入れや金利負担も大きく、減価償却が費用項目として大きな比率を占めるためだ。

全日空の伊東信一郎社長は5月の定例会見で「われわれもリーマン・ショックや東日本大震災、燃油高の中、コスト削減や生産性向上に努力してきたが、正直言ってあの利益レベルにはなかなか届くものではない」と指摘。19日の株主総会でも公正・公平な競争環境の確保をあらためて訴えた。

<安定株主の確保も課題に>

アナリストの間では日航が高水準の利益を維持できるかについては懐疑的な見方もある。人件費や他の経費の上昇や格安航空会社(LCC)との競争激化などが予想されるためだ。

また、日航は金融機関や商社、大手企業など安定株主の確保にも苦慮している。関係筋によると、金融機関や大手企業は2010年の日航の破綻と上場廃止による苦い経験があるため、投資には慎重になっている。関係筋によれば、日航は豪カンタス航空QAN.AX、英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の親会社IAGICAG.Lなど、ワンワールド・アライアンスの加盟航空会社を安定株主として迎え入れる意向で打診している。

(ロイターニュース ネイサン・レイン 杉山健太郎 大林優香)

*内容を追加して再送します。

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