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アングル:キプロス支援策で欧州銀に激変も、資金逃避の懸念

[ロンドン 26日 ロイター] キプロス支援策が欧州における救済のひな型になるとすれば、銀行にとっては「状況の激変をもたらす事象(game-changer)」となり、資金調達コストの上昇や、預金移転の活発化、増配の後ずれにつながる可能性がある。

3月26日、キプロス支援策が欧州における救済のひな型になるとすれば、銀行にとっては「状況の激変をもたらす事象」となり、資金調達コストの上昇や、預金移転の活発化、増配の後ずれにつながる可能性がある。写真は22日、ニコシアで撮影(2013年 ロイター/Yannis Behrakis)

キプロス支援策では10万ユーロを超える預金が凍結され、大口預金者がこの先、銀行救済時に一部負担を強いられる可能性が示唆された。こうした事態を受けて、銀行株は下落し、銀行債のデフォルト(債務不履行)に備えた保証コストが上昇した。

ベレンバーグのアナリスト、ニック・アンダーソン氏は「ベイルイン(預金者など銀行内部からの救済)はこうしてベイルアウト(政府など外部からの救済)に代わるだろう。結果として、銀行の資金調達コストは増え、預金はより移転しやすくなり、銀行は債権者を安心させるために自己資本の積み増しを迫られる」と指摘。「誰もが認識しているものの口には出さなかった重大な問題がついに表面化した」と述べた。

キプロス支援では、大口預金者に加え、国内2位のキプロス・ポピュラー(ライキ)銀行CPBC.CYのシニア債保有者も損失を被るほか、国内最大手バンク・オブ・キプロスBOC.CYのシニア債保有者も影響を避けられない見通し。

ギリシャやアイルランド、ポルトガル、スペインに対する従来の支援策では、シニア債保有者や預金者に負担を押し付けることはユーロ圏の銀行からの資金逃避を招くとの懸念から、域内のリーダーらが二の足を踏んだ経緯がある。

新たな欧州連合(EU)規制の下では、シニア債保有者が将来の銀行救済コストの一部を負担するとされるが、2015年よりも前にこの条項が適用されることはない予定だ。

ユーロを導入していないデンマークは、ここ数年でシニア債保有者に損失を強いた唯一のEU加盟国だが、国内の銀行が2011年に債券市場から締め出されたことを受け、そうした損失負担発生の可能性を制限する方向に動き出した。

オリーブツリー・セキュリティーズのアナリスト、サイモン・モーガン氏は「ついにEUは正しいことを実行する。リスクを取ったなら、株主であれ、債券保有者であれ、預金保険対象外の預金者であれ、リスクにさらされるべきだ」と指摘。「(キプロス支援策は)これまでの(域内の)救済で最大の問題となっていた債券保有者(の負担問題)からの救済だ」と述べた。

同氏は、スペインやイタリア、ことによるとフランスには依然としてリスクがあるとした上で「これらの国の問題に対処する唯一の方法は、まずマネーを投じた投資家を前面に押し出すことだろう」と指摘した。

<預金者への警鐘>

アナリストらによると、預金者はキャッシュの分散化をこれまでになく進めることになりそうだ。

前出のモーガン氏は「(キプロス支援は)警鐘だ。リスクが高まれば、預金は一段と流動化するだろう」と話す。

エスピリト・サントのアナリスト、アンドルー・リム氏は「預金者が英国やスイスといった強固な非ユーロ圏銀行に資金を移転させることは合理的だ」と指摘する。

バークレイズのアナリスト、マイク・ハリソン氏は、キプロス支援を受けて、事前積立方式の預金保険制度の構築が各国で進むとの見通しを示す。

債券保有者もリスクへの警戒心が高まりそうだ。

同氏は「ベイルインの概念は人々が思っていたであろうペースよりも速く浸透しているように思える」と述べた。

アナリストらによると、投資家から自己資本比率の引き上げを求められれば、銀行は増配の見送りを迫られる可能性もある。

とはいえ、大半の銀行は既に、余裕のある資本を積むまで配当を見送るよう圧力にさらされており、規制も相変わらず国によって異なっている。

( 記者 Steve Slater 執筆協力 Aimee Donnellan at IFR in London;翻訳 川上健一;編集 吉瀬邦彦)

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