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アングル:金融政策にらむドル円、日銀緩和は米国の「緩衝材」か

[東京 11日 ロイター] 為替市場は日米金融政策の方向性の違いをにらみ始めた。米国が量的緩和の出口戦略を模索し始めた一方、日本は異次元とも呼べる超緩和政策を続ける構えであり、この面からはドル高・円安要因が続くことになる。

4月11日、米国が資産買い入れを縮小すれば、市場にショックが走る可能性が高いが、その「衝撃緩衝剤」として日銀が緩和を継続しなければならないとすれば、日本市場の「歪み」は大きくなるおそれもある。写真は2月、都内で撮影(2013年 ロイター/Shohei Miyano)

米国が資産買い入れを縮小すれば、市場にショックが走る可能性が高いが、その「衝撃緩衝剤」として日銀が緩和を継続しなければならないとすれば、日本市場の「歪み」は大きくなるおそれもある。

<深まる米国の「出口」戦略>

米連邦準備制度理事会(FRB)が10日に公表した3月19―20日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録によると、「多数(Many)」の参加者が労働市場見通しの改善が続けば、今後数回の会合で量的緩和第3弾(QE3)を縮小する可能性があると考えていたことが明らかになった。

FOMCでの「出口」議論はこれまでにも行われてきたことが議事録で判明しているが、最低でも今年末までは継続すべきとしたメンバーが2人と少なかったことなどから、「より突っ込んだ議論が進んでいる」(大手証券)との受け止めが多い。また米国では、量的緩和の費用対効果の分析が行われ、費用が効果を上回るとの分析結果も出ており、今後も出口戦略が徐々に練られていくとみられている。

伊藤忠経済研究所、主任研究員の丸山義正氏は「3月のFOMCの議論は、夏場から減額、年内終了の可能性を示唆するものだ」と指摘する。ただ、3月の雇用者数の下振れや歳出削減の影響を見極める時間を考慮すると、減額開始は2013年10―12月期まで先送りされ、買入れプログラムは2014年前半に終了すると予想されるとの見方を示している。

FRBによる量的緩和策の縮小は米国経済が持続的な成長軌道に乗ったためと好意的に受け止められればいいが、「過去3回の量的緩和がアメリカ株式市場に大いに貢献したことは紛れもない事実であるから、これが終了となると、株式市場には少なからぬネガティブな影響が発生するだろう」とデリバティブ・アナリストの高山剛氏は警戒する。

<「日本アンカー論」に警戒も>

そこで「衝撃緩衝材」として期待されているのが、黒田日銀の大規模金融緩和だ。グローバルな過剰流動性の供給元としてだけではなく、米国債を間接的に支える役割も期待されている。「まだら模様の景気回復が続くアメリカにとって、長期金利の上昇は回復に致命的な影響を及ぼしかねない、日銀の金融緩和が今後も継続、拡大すれば、アメリカは安心して量的緩和の出口にたどりつける」(国内機関投資家)という。

日銀の外債購入は国際的な批判が強く事実上困難になったが、日銀の金融緩和による低金利が進み、資金運用先に苦しむ国内機関投資家が米国債を買ってくれれば、ヘッジなしという前提付きだが、ドル/円をサポートし、米量的緩和の出口で予想されるショックを緩和するかもしれない。

金融市場では、日銀の量的緩和を受けて本邦勢が外債投資を拡大するとの見通しを盛り込んだ外国証券のアナリスト・レポートが連日出回っている。この見通しの論拠は、日銀が2年でマネタリーベースを2倍にすることにコミットしたことから、そのマネタリーベースのかなりの部分が、日米(欧)金利差や円安トレンドを背景に、外債に流入するとの予想だ。

米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)は、日銀の金融緩和などを受けて日本の投資家が利回りの高い海外の金融商品に投資すると予想し、米国債への投資比率を今年最高水準となる33%に引き上げた。

外為市場ではFOMC議事録を手掛かりに、日米金利差拡大を背景に本邦投資家が外債投資を活発化させるとの思惑が広がり、ドル/円は4年ぶりの高値となる100円に迫っている。「日米実質金利差で見た場合、日本のインフレ率2%を織り込んだ相場は105円程度と推計できる」とJPモルガン・チェース銀行、チーフFXストラテジストの棚瀬順哉氏は言う。

しかし、1980年代、世界経済を支えるために日本は低金利を続けるべきだとの「日本アンカー論」が強まり、結果的にバブルを引き起こす一因になったとみられている。すでに日本の国債市場に混乱を起こしている「異次元緩和」が米国側の理由だけで継続することになれば、将来、深刻な問題となる可能性は大きい。

(ロイターニュース 森 佳子 編集:伊賀大記)

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