[ニューヨーク 3日 ロイター] 3日のニューヨーク外為市場ではドルが対円で1%強上昇し、一時99.26円をつけた。朝方発表された4月の米雇用統計が予想より強い内容となり、米経済が一部で懸念されたほど減速していないとの楽観的な見方が広がった。
4月の雇用統計では非農業部門雇用者が前月比16万5000人増加し、エコノミスト予想の14万5000人増を上回ったほか、失業率も前月の7.6%から7.5%に低下し、2008年12月以来の低水準となった。2月と3月の非農業部門雇用者数増加分も上方修正された。
クレディ・スイスの通貨ストラテジスト、アルビズ・マリノ氏は「円に関しては、日銀の緩和策を意識して誰もが資金流出を見込んでいる」とし、国外で良好な成長が確認されれば日本の資金が外に流れる可能性が高まると指摘した。
ドル/円は1.13%高の99.06円。1日の上昇率としては2週間ぶりの大きさとなった。
ドル/円は4月11日に4年ぶり高値となる99.94円をつけたが、100円付近のオプションバリアに阻まれ大台は突破できずにいる。
OANDAの首席通貨ストラテジスト、ディーン・ポップルウェル氏は、今後数週間で強い米経済指標がさらに出てくれば、100円越えの可能性があると指摘した。
ユーロ/ドルは0.4%高の1.3115ドル。米雇用統計の発表を受けて一時1.3033ドルまで売られたが、その後は1.3050近辺で下げ渋り、上昇に転じた。
アナリストによると、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が前日、中銀預金金利のマイナスへの引き下げについて「技術的には用意が整っている」と述べたことや、景気の下振れリスクに言及したことを受け、ユーロの地合いは引き続き弱い。
モルガン・スタンレーはリサーチノートで、中銀預金金利をマイナスにすることには、多大なコストが伴い、とりわけ短期金融市場の資金が周辺国のぜい弱な銀行に流れないリスクがあると指摘。こうしたコストを認識した上でドラギ総裁がマイナス金利の可能性に触れたことは、ECBがユーロ安を望んでいることを明確に示していると分析した。
ただ複数のECB当局者からはこの日、早期の中銀預金金利引き下げの可能性に否定的な発言が出た。ECB理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は、ECBとしてマイナスの中銀預金金利で予断は持たないが、目先にあり得る選択肢ではないとの見方を示した。
ユーロ/円は1.54%高の129.90円。1日の上昇率としては4月16日以来の 大きさとなった。
ドルの対ユーロ安に押されてドル指数.DXYは0.43%安の82.10。
ドル/円 終値 99.01/06
始値 98.03/08
前営業日終値 97.93/98
ユーロ/ドル 終値 1.3114/18
始値 1.3118/21
前営業日終値 1.3064/66
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