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焦点:アジアREIT市場に熱気、インフレ対策で金に代わる

[香港 10日 ロイター] 各国の中央銀行が大量の資金供給を実施する中、インフレをヘッジしたいアジアの投資家は金を手放し、代わりに不動産投資を急拡大している。

5月10日、各国の中央銀行が大量の資金供給を実施する中、インフレをヘッジしたいアジアの投資家は金を手放し、代わりに不動産投資を急拡大している。写真は香港のオフィスビル群。昨年8月撮影(2013年 ロイター/Bobby Yip)

意外にもインフレが落ち着いているため金の魅力があせ、利回りを求める資金が不動産に向かっているが、価格が高騰しているためリスクも高い。

中でもアジアの不動産投資信託(REIT)を取り巻く熱気は著しい。トムソン・ロイターのデータによると、日本を除くアジア地域でのREIT発行高は、3月初めまでの1年間で4倍以上の43億3000万ドルに膨れ上がった。今後2、3カ月以内に新規株式公開(IPO)だけで40億ドルが予定されており、ブーム減速の兆しは見られない。これらREITのバリュエーションは2008年の金融危機前以来で最高だ。

アジアで最も著名なヘッジファンド・マネジャーの1人、チャーリー・チャン氏は「過去2年間、REITは良いインフレヘッジ手段だと言ってきた。価格評価が簡単で、投資対象が目に見えて、インフレが来てもビルを所有しているのでビル価格が上昇してくれる」と話す。

チャン氏が運用する2億ドルのヘッジファンドは昨年63%ものリターンを達成し、ことしに入ってからもさらに35%上昇している。これに対してユーレカヘッジのデータによると、アジアのヘッジファンドの平均リターンは昨年が10%、ことしが9%だった。

REITは景気が良くなり価格が上がると家賃の上昇により恩恵を受ける。利回りを生まない金と異なり、着実なインカム収入も得られる。スターマインのデータによると、アジアのREITの平均利回りは現在4.4%だ。

金のスポット価格は年初から5月7日までに13%下落。対照的に、トムソン・ロイター・データストリームによるとMSCIアジア太平洋REIT指数は14%上昇した。

シンフォニー・ファイナンシャル・パートナーズ(東京)の共同創設者、デービッド・バラン氏は「利回りを追求する投資家は、各国の中央銀行によってソブリン債市場からどんどん締め出されつつある。REITは資産クラスとしての魅力を一段と増してきた」と述べた。

<新規発行の洪水>

シンガポール.FTFSTAS8670と香港.HSREITのREIT指数はそれぞれ年初来13%と17%上昇し、いずれも過去2週間の中で史上最高値を更新した。

沸騰する需要に応じようと、企業は次々にREITを発行している。好例がメープルツリー・グレーター・チャイナ・コマーシャル・トラスト(豊樹大中華商業信託)MAPE.SIだ。メープルは2月、シンガポールでREITとして過去最大のIPOを実施し、20億6000万ドルを調達した。利回りは5.6%で、機関投資家から約30倍の応募を集めた。

リッパーのデータによると、アジアと日本に投資するREITの運用資産はそれぞれ3月末に550億ドル、200億ドルと過去最高を記録。さらに数十億ドル分の発行が予定されていることから、今年のREIT発行額は少なくとも2007年以来で最大となりそうだ。

<不動産価格が高騰>

日銀が2010年12月以来、REITを1338億円購入してブームに油を注いでいるため、不動産のバリュエーションは釣り上っている。

アジアで上場するREITの実に92%が過去1年間で上昇。ジャパン・ホテル・リート投資法人8985.Tと産業ファンド投資法人投資証券3249.Tの価格は安倍晋三首相の下での積極的な財政・金融政策に押されて2倍以上に上昇した。

IBES・MSCI・ACアジア太平洋REIT指数の株価純資産倍率(PBR)は現在1.3倍と2008年2月以来の最高だ。つまり投資家は裏付けとなる不動産の価値より30%高い価格を支払っていることになる。

スターマインのデータによると、時価総額と取引高でこの地域最大のREIT、ウエストフィールドWDC.AXの1年後の見通しに基づくPBRは過去最高の1.6倍で、過去5年間の中央値を71%上回っている。

2番目に流動性の高い日本ビルファンド投資法人8951.TのPBRは1.8倍で、5年間の中央値より約80%も高い。

投資家はホテルの宿泊料金や、ビルやショッピングモールの賃貸料が急上昇を続け、収益をもたらすと期待している。

香港の太古地産(スワイヤ・プロパティーズ)1972.HKは、不動産の需給が引き続き逼迫しているとして、1─3月に「ワン・アイランド・イースト」や「シティプラザ」といった不動産の賃貸料を最大82%引き上げたと発表した。

ゴールドマン・サックス(シンガポール)で日本を除くアジアの不動産投資銀行部門ヘッドを務めるマイケル・スミス氏は「規制措置の対象となっているのは概ね居住用不動産市場だ。オフィスビルやショッピングモール、ホテルといった商業用スペースは引き続き活況だ」と説明した上で、「これらREITの構造の素晴らしさは、商業用不動産への純粋な投資である点だ」と話した。

(Nishant Kumar、Elzio Barreto記者)

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