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焦点:意識され始めた人民元上昇局面の終了、景気減速兆候受け

[上海 13日 ロイター] 最近の中国経済の減速兆候を受け、2012年8月以降続く人民元の上昇局面に終わりが近づいている可能性がでてきた。

5月13日、最近の中国経済の減速兆候を受け、2012年8月以降続く人民元の上昇局面に終わりが近づいている可能性がでてきた。写真は2011年、北京で撮影(2013年 ロイター/Jason Lee)

過去数カ月、投資家や企業は対中国投資を拡大させ、人民元相場は過去最高値を更新し続けている。

しかし景気減速傾向が広がる中、人民元投資を考えている投資家は、経済のハードランディングへの懸念で人民元が急落した2011年と2012年の状況を思い出した方がよさそうだ。

HSBCのアジア外為リサーチ部門の責任者、ポール・マケル氏は、中期的観点から人民元の一方的な上昇を疑問視している。4月14日付のリサーチノートでは、最近の資金流入は人民元の上昇を見越した投機筋などの動きが要因と指摘。「こうした予想は、国内外の環境が変われば反転する可能性がある」とみている。

ロイターの公式統計の分析では、第1・四半期に中国に流入した「ホットマネー」(投機資金)は1810億ドルにのぼる。これには貿易決済を装ったと疑われる資金は含まれていないため、さらに膨らむ可能性がある。

人民元は4月以来1.1%上昇。年初時点でアナリストの多くは、2013年年間の上昇率を1─2%程度と予想していた。

国家外為管理局(SAFE)は5日付の声明で、銀行が自己勘定で保有できる人民元のロングポジション(買い待ち)の制限を厳格化すると同時に、貿易取引を装って資金を流入させている輸出・輸入業者への監視を強化することを明らかにした。

これを受け、6日のオフショア市場で人民元相場は1年3カ月ぶりの大幅安、国内市場では12月以来最大の下げを記録した。しかしその後人民元は急反発し、8日と9日は再び最高値を更新している。

過去人民元相場は上昇しか想定されない状況が続き、上昇か下落かではなく当局がいかに迅速に上昇させるかがポイントだった。しかし2011年には、中国経済のハードランディングに対する懸念で急落。数年間ドルを売り続けていた中国企業はドルの買い戻しに走り、人民元の下落が加速した。国内相場は2012年1─7月に1.3%下落し、1994年に現在の外為取引体制が始まって以来初めての継続的下落局面となった。

これにより一方的な人民元上昇の観測は見直されたように思われたが、市場は2012年8月に再びシフトチェンジ。ユーロ圏危機への懸念後退と、中国での景気刺激措置を受け、投資家の人民元投資意欲が復活した。

第4・四半期は再び企業の人民元買いが活発化し、11月には人民銀行がドル買い介入に乗り出す展開となった。

為替トレーダーによると、中国を拠点とする企業の人民元先物買いによるヘッジも上昇を加速させている。企業による人民元買いに関するロイターの分析によると、中国を拠点とする輸入企業・輸出企業は現在、2010年以降最も速いペースで元を買っている。

ただ市場では、中国経済への懸念の広がりとともに、2011年型の調整が意識され始めている。第1・四半期の成長率は7.7%で2012年第4・四半期の7.9%から減速。アナリスト予想の8.0%も下回った。鉱工業生産や固定資産投資もさえない数字となっている。また4月のPMI指数でも、製造・サービス部門ともに依然弱いことが示された。

これらの経済指標が今後もさえない内容となれば、2011年型の調整はそれほど遠くない可能性がある。一連の投機資金流入抑制措置も、輸出の伸びを現実的とみられる水準に押し戻す公算が大きい。

そうなれば中国経済、そして人民元に対する信頼が揺らぐ可能性がある。

スタンダード・チャータード(香港)のシニア外為ストラテジスト、ロバート・ミンキン氏は「スポットの人民元相場が短期的に大幅上昇するのはかなり難しくなる。経済指標もさほど強くなく、何かあればドル/人民元が反発する展開となるだろう」と述べた。

(Gabriel Wildau記者;翻訳 中田千代子 ;編集 田中志保)

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