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アングル:中国短期金融市場の混乱、人民銀行の対応に不満

[北京 23日 ロイター] - 中国人民銀行は政策対応などを公に説明することはほとんどなく、市場はひたすら想像するしかない。

6月23日、短期金融市場で金利が急上昇、市場では中国人民銀行に不満が強まっている。2月撮影(2013年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

しかし、このところの短期金融市場での金利急上昇に、市場では人民銀行のそうした姿勢に不満が強まり、透明性を求める声が高まっている。

中国短期金融市場ではこの1週間金利が異常な水準に跳ね上がった。なぜ人民銀行が資金を供給しなかったかについては、当局が深刻な信用リスクを生み出していると懸念する「シャドーバンキング」と呼ばれる銀行を介さない資金の流れを封じる狙いとの見方が一部で出ている。

ここ数年、人民銀行は安定をモットーとしてきた。短期金融市場について言えば、資金需給がひっ迫すれば、常に人民銀行が流動性を供給してくれるという意味だ。それがここにきて、銀行が資金取りに躍起になっていても人民銀行は動かない。市場は、人民銀行の政策が根本的に変化したのかどうか、見極めきれずにいる。

フィッチ・レーティングスのシニアディレクター、シャーリー・チュー氏は、政策目標に矛盾が存在する、とみている。「どの局面でどれが重要なのか分からないことが、市場の真の不確実性」と述べた。

トレーダーは、一部銀行向けの翌日物資金調達コストが25%に跳ね上がり、一部中小銀行がパニック状態になったことに対し人民銀行から明確で公式なシグナルが発信されなかったことに不満を示す。

中国短期金融市場をめぐる不安は週末にかけて強まった。20日には中国大手2行が人民銀行から緊急融資を受けたとのうわさが米欧市場で広まった。当の2行がうわさを否定し、21日の短期金融市場は幾分落ち着きを取り戻した。

ただでさえ部外者には分かりづらい市場のパニックは、ソーシャルメディアでも話題になり、金融危機を心配する書き込みが相次いだ。

中国短期金融市場の状況が大々的に不安視されるなかでも、人民銀行は沈黙を守った。ロイターはこの間、人民銀行に何度か電話取材を試みたが、コメントは得られてなかった。

人民銀行はこれまで、こっそり特別オペ(公開市場操作)をしたり、市場が閉まっている時間や週末に最低限の説明を付けるだけで政策金利の変更を発表している。今回の事態をみた多くの市場参加者は、人民銀行が不透明な体質から脱する時だとみており、エコノミストは、人民銀行にとって教訓になると指摘する。

今回の混乱は、中銀と市場参加者との情報の非対称性がもたらしたとトレーダーは指摘する。状況が不透明なため、余剰資金がある銀行も市場に出したがらず、資金ひっ迫に拍車をかけたとされる。

中国建設銀行のエコノミスト、Zhao Qingming氏は「人民銀行は市場との対話を改善すべきだと思う。少なくとも、最初に意向を市場に明確に伝えるべきだ」と述べた。ロイターが取材した複数の短期金融市場トレーダーも同様な見解を示した。

<独立性のない中銀>

米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など、先進国の中銀と違い、人民銀行は定期的な金融政策決定会合は開かず、会合の議事録も公表しない

先進国中銀は、政策決定発表後すぐに記者会見を開いて、決定の基となる考え方を説明し、市場の誤解防止に努める。

しかし、人民銀行は政府から独立した機関ではない。重要な政策決定は国務院(内閣に相当)の承認を必要とする。

21日、複数の銀行関係者がロイターに、人民銀行がその週に銀行幹部との会合を持ったことを明らかにした。会合で、人民銀行は銀行側に、かつてのような潤沢な資金供給を期待せず、自力でやり繰りするよう伝えたという。しかし、そのメッセージがトレーディング部門に伝わることは、少なくとも21日まではなかった。

ある国有銀行のトレーダーは匿名を条件に「人民銀行が何を考えているか、われわれは知らない。おそらく当行の一部幹部は知っているだろうが、われわれは、知らないままトレーディングしている」と語った。

フィッチ・レーティングスは21日に発表した声明で、銀行の「シャドーバンキング」向け資金を絞ることを狙った人民銀行の取り組みはこれまで実施した他の措置より有効な可能性との見解を示したが、一方で、「政策の誤りあるいは意図しない結果、その両方」につながる恐れも指摘している。

フィッチは、人民銀行の対話戦術を名指ししていない。しかし、ソーシャルメディアで出ている意見は、人民銀行が市場の反応だけでなく、社会的な反応にも配慮する必要性を示している。

簡易ブログの微博には、「人民銀行の公開市場操作はあまりにも不透明で、銀行システム全体が透明でない。何が起こっているのか、何が市場パニックの主な理由だったのか、誰にも分からない」との書き込みがあった。

(Jason Subler、Aileen Wang、Lu Jianxin記者;翻訳 武藤邦子;編集 佐々木美和)

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