[東京 10日 ロイター] - 安倍晋三首相は10日、10月上旬に行う消費税率引き上げの最終判断を前に、9月中に経済政策パッケージを取りまとめるよう、関係閣僚に指示した。
消費税率を予定通り引き上げる場合は十分な対策が必要との判断で、あらかじめ経済対策をとりまとめて、増税を予定通り行う場合には、十分な景気腰折れ対策と一体で実行する。
<9月中に政策パッケージ、消費増税最終判断の材料>
安倍首相は、現在は15年続いたデフレから脱却する最後のチャンスと位置付けており、消費増税によってこの機会を逃すことは避けたい思いが強い。この日も、経済政策パッケージ取りまとめを指示した際、消費増税について10月上旬に判断するとしたうえで「デフレ脱却、経済再生と財政再建への道筋が確かなものかをしっかり見極め、判断したい」と発言。「消費税を引き上げる場合には十分な対応策が必要だ。景気を腰折れさせてはならない」と語った。
ただ、官邸サイドはこの政策パッケージについて「成長の果実を全国津々浦々まで届けるためのものだ。消費税の判断とは分けて考えてもらわないといけない」(世耕弘成官房副長官)と位置付ける。消費増税ありきで政策をまとめるわけではないという認識だ。
一方、甘利明経済再生担当相は、経済対策パッケージは消費増税の最終判断の材料になると指摘。麻生太郎財務相も消費税法には3%と2%の引き上げが明記されており、対策はその方向で考えることになるとの認識を示した。
<補正予算も必要、来年通常国会で対応>
消費増税への対策としてはすでに住宅取得に際してのローン減税拡充や給付措置が決まっているほか、逆進性対策として、簡素な給付措置を行うこととなっている。さらに現在、自民党税調などで協議している投資減税に加え、補正予算の編成も視野に入っている。
麻生財務相はこの日の会見で、政策パッケージの中身に関して、補正予算も必要になるとの考えを示した上で、(消費増税で)来年4─6月に景気が落ち込むことを考えれば、補正予算の提出は来年の通常国会になるとの見通しを示した。
産業界から要望の強い法人税の実効税率引き下げに関しては、自民党の野田毅税調会長が9日、「前倒しでやっている今回の税制改正のメーンテーマではない」としたうえで「今後の検討課題の一つ」と述べている。
石田仁志
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